FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🍭

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 魚子が自分の机に黒いリュックを叩きつけて、大きな音を鳴らした。怯えた様子の奈緒はベイビーバングを揺らして、瞳を貝のようにぎゅっとつぐむ。同時に自分の机がきしみ、振動がワイシャツを強張らせた。目を開けると誰かが座っている。それは、この席の元占有者、相沢かおりであった。
 後ろから暖乃の声がする。
「[登校]拒否ってくれればいいのに、最強の席順がもう台無し」
 魚子、暖乃、かおりは仲がいいらしい。いつも三人で奈緒をいじめていた。ほかのクラスメイトは三人が怖いのか、全員が奈緒と距離を置いていた。だからといって、三人がいなければ仲良くしてくれるといった感じでもない。
 誰かの囁くような声がした。
「可哀想だよな」
「でもあのよだれ見ると、虫唾が走るんだよ」
「なに言ってるか分かんねーし」
「訳すのが大変、もうなぞなぞだよ」
「なんかさぁ、半分以上のピースなくしてんのに、関係ないピース混ぜられたパズルを気が付かずにやらされてる感じ?」
「すっごいイライラするよね」
「でもいいの? これって……」
「じゃあ、あんた相手してあげなさいよ」
「そうだよ、お前担当な、仲良くしてやれよ」
 稀に出る奈緒を擁護する意見も、すぐにかき消される。いつも面倒を押し付けあっていた。誰もあえて友達になろうとはしないだろう。みんなは、三人が日課のように一通りの悪口をかぶせあう声にも知らんぷりだ。
 胸でアイソレーションしていた暖乃が、肩上ボブの髪を揺らしながら、人差し指の先をトンボのように飛ばして左右を指し示していると、予鈴が鳴った。
 奈緒は、ほっと一息吐く。いつも通り、暖乃が魚子の後ろの席に着き、かおりが遠くの席に戻る――はずだった。だが、そうはならなかった。場の空気にとげが生える。
「もうやめなよ。いい加減に」
 誰か女子の声。ちょっと低くて、ギターのように響く声。
 奈緒には、何が起きたのか分からなかった。




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