FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

第十四話 表情の表側

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 務が言い終わるのを待って、南が口を開いた。
「確かに見えないいじめってあるもんだよね。直接的ないじめしかいじめって思えないけど。隠れてするにしても、校舎裏に呼び出すとかさ。顔はばれるから殴らないとかするだけでもいじめがないような雰囲気は醸し出せるもんね。日常のやり取りに隠れちゃうと、もう誰も気づけないのかも。だって横綱のこと今でもいじめていたって思えないし、本人だって思ってないかも。でもわたしと横綱の関係を横に置いて、やり取りだけを見ると、やっぱりいじめだって思えてくる。横綱って肌白くって、わたし、肉まんみたいでおいしそうだって思って、豚のひき肉詰まっているんじゃないのって笑って言ったことがある。おいしく味付けしてあるからご賞味あれ、なんてエロっぽく手招きして返事を返してきたけど、冷静に考えるとアウトかも」
 そう言い終えて考え込む。
 みんなは続きを待ったが、南は話を続けずに奈緒に訊いた。
「わたしはウィップスのことしか見ていなかったけれど、実際どうなの?」
「どおって?」逆に聞き返す。
「会話の中で傷ついたとか。変なスキンシップがあったとか」
 奈緒は考えて杏奈をちらりと見る。そして南を見て言った。
「わ た し は よく 分からない」右耳と左耳のそばに左手を行き通わせながら、「だって、こっちからこうだから」と続ける。「みんなは 言うのが 速い か ら、あらあらあらっていう間に、ちょっちょっちょ、ちょっちょっちょってなっちゃって、もうだめ。それにわたしが出来ないのが悪いの だから、みんなに迷惑かけ られ ないし。だから、わたしはこうやって学校に来て、サンドウィッチを食べるのが 楽 し みっ」
 最後のお楽しみにとっておいた、いちごのカスタード入りホイップサンドを一口食んだ。
「そうだよね」杏奈が口を開く。「学校生活なんて三年間しかないし、その中で一緒に過ごしている人なんて、ごく一握りじゃない。たくさんいるように見えるけど、ほとんど授業でとか部活でとか、強制的にだもん、自分の意思じゃないし。こうやって楽しく過ごせる場があるだけで違うよね」
「心のオアシスだ」奈緒が言って、「あれ、違うかな?」と首を傾げる。
 その左隣で、南が「あってる」と教えた。






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