FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🐿️

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「落ち着いて、けんかはよそうよ」杏奈が間に入って、いがぐりの進行を阻んだ。そして続ける。「急に席取られたら、誰だってやな気持ちになるよ。突然で気持ちの整理が――」
 言い終わる前に、小沢が声を荒げる。
「成瀬のせいだっていうの?」
「いや、そうじゃなくて。成瀬さんの環境は変えるべきだと思うよ。でも、ただわたしは、ナナたちを一方的に非難するのもおかしいんじゃないかなって」
「成瀬に変えてっていうのは酷だよ。今の成瀬のままで受け入れてやんないと。こういうやつらは早いとこシメてやったほうがいい」
 そこで、一人の男子が手を挙げて立ち上がった。
「僕も賛成」
 みんなが振り向く。そこには背が高くてゆったりと穏やかそうな雰囲気を纏う生徒がいた。眉にかかる程度の髪はサラサラで、牙も爪もなさそうな男子。
「務君……」杏奈が意外そうに呟く。
 務が真剣な眼差しで杏奈を見つめながら続ける。
「シメるのはどうかと思うけど、僕たちが受け入れてやらない……と……」
 みんなに注目されて、膨らんだ勇気が急にしぼんだのか、後半の語気が弱まる。
「俺もつっちーにさんせー」
 援護射撃するような声が放たれた。
 見ると茶髪の生徒が左手で頬杖をついて、右手の肘から上で挙手していた。
 パーマなのか天然なのか、寝ぐせ気味の目にかかるうっすら茶色髪の生徒。
「つっちーがそこまで言うんなら、そうなんだろうな。女子同士のことだから男子が絡むのもどうかと思うけど、まあ、環境がいいに越したことはないし」
「うわぁ」と花が咲くように暖乃が黄色い声を上げる。
「すてき。友達想いなんだね、高木君て」
「ああ、暖乃、なにをいまさら? あたりまえじゃん、だって俺だぜ」
「わたし好きになっちゃうかも。ねえ、今彼女いるの?」
 暖乃が、窓から二列目最前列にある高木の席まで行って褒めそやしながら口説く。
「え、今いないけど」
「うーそだー、高木君格好いいのに、いないなんて信じられなーい」そう驚きながら、胸を横に振る。
 高木は目のやり場に困って、アーモンド形の瞳の内から暖乃を外す。
「まあ……なんだ? あれだよ。転校してきたばかりじゃん。右も左も分かんねーのに、なんか可哀想かなぁって」
「ひどーい。わたしいじめてないのにぃ。高木君もそんなふうに思ってるのー?」
 暖乃が唇をつぐんで右頬を膨らませる。肩を揺らしていやいやをした。

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