8 / 838
一年生の二学期
第三話 最初の友達
しおりを挟む
学校の敷地の中は、溢れんばかりに生徒たちの声が木霊していた。友達とお喋りする楽しげな声。部活に励む掛け声などが入り乱れて、無秩序ながらも活気のある放課後の風景だ。
そんな中で奈緒は、異様に目立つ存在だった。右足が動かないので、常に片足を引いていて、ぴょこぴょこと跳ねるように進んでいく。
そんな彼女を遠目で見つけて、一直線に近寄ってくる女子生徒がいた。声をかけられて奈緒が不器用に振り返るが、分からない。顔を更に右に向けて左目に声の主を入れると、急に頬が綻ぶ。眼前にいたのは、朝教室でかばってくれた廣飯杏奈だった。
「一緒に帰ろう」
杏奈にそう声をかけられて、奈緒はおずおずと「うん」と答える。
その後、しばらく何も会話を交わすこと無く二人は歩いていたが、正門を前にして、杏奈が言った。
「仲良し三人組の席取っちゃったんだからしょうがないよね」
開口一番そう言われた奈緒はぎょっとするが、困った顔をしながらも、なんとか「そうだね」と答える。
杏奈が続けた。
「あの席にいたかおりって子いるでしょ。小学校の時からナナと友達だったんだって。それですっごい仲いいの。少しとっつきにくいかもしれないけれどいい子だよ、クールって言うのかな。別になにかされたわけじゃないでしょ? ふたえだけど切れ長だから睨まれているように思うかもしれないけれど、そんなことないよ。だから気にしないで」
杏奈は、ほんの少し奈緒の回答を待つが、首を傾げるだけの姿を見てキューピッドラインを引き上げる。
「小沢さんは、いじめだって言っていたけど、そんなことないよね? もしそうならわたしに言って。先生に言ってあげるから」そして笑みを投げる。
奈緒が何かを言おうと口を開くのを知ってか知らずか、彼女が言葉でこの子の口を塞いだ。
「でもさぁ、小沢さんもみんなの前でひどいよね。のーののこといじめ扱いしてさ。ナナと話していただけでしょ。そりゃあ成瀬さんのこと話していたのかもしれないけど、内容的にはナナのことねぎらってのことだっただろうし」
「うん」ようやく答えた奈緒が困惑の笑みを浮かべ、うっすらと悲しそうに道路へと視線を下げる。「わたしが わるい。だって よだれを たらしてしまうから。わたしもだめ だなって 思うから」
そんな中で奈緒は、異様に目立つ存在だった。右足が動かないので、常に片足を引いていて、ぴょこぴょこと跳ねるように進んでいく。
そんな彼女を遠目で見つけて、一直線に近寄ってくる女子生徒がいた。声をかけられて奈緒が不器用に振り返るが、分からない。顔を更に右に向けて左目に声の主を入れると、急に頬が綻ぶ。眼前にいたのは、朝教室でかばってくれた廣飯杏奈だった。
「一緒に帰ろう」
杏奈にそう声をかけられて、奈緒はおずおずと「うん」と答える。
その後、しばらく何も会話を交わすこと無く二人は歩いていたが、正門を前にして、杏奈が言った。
「仲良し三人組の席取っちゃったんだからしょうがないよね」
開口一番そう言われた奈緒はぎょっとするが、困った顔をしながらも、なんとか「そうだね」と答える。
杏奈が続けた。
「あの席にいたかおりって子いるでしょ。小学校の時からナナと友達だったんだって。それですっごい仲いいの。少しとっつきにくいかもしれないけれどいい子だよ、クールって言うのかな。別になにかされたわけじゃないでしょ? ふたえだけど切れ長だから睨まれているように思うかもしれないけれど、そんなことないよ。だから気にしないで」
杏奈は、ほんの少し奈緒の回答を待つが、首を傾げるだけの姿を見てキューピッドラインを引き上げる。
「小沢さんは、いじめだって言っていたけど、そんなことないよね? もしそうならわたしに言って。先生に言ってあげるから」そして笑みを投げる。
奈緒が何かを言おうと口を開くのを知ってか知らずか、彼女が言葉でこの子の口を塞いだ。
「でもさぁ、小沢さんもみんなの前でひどいよね。のーののこといじめ扱いしてさ。ナナと話していただけでしょ。そりゃあ成瀬さんのこと話していたのかもしれないけど、内容的にはナナのことねぎらってのことだっただろうし」
「うん」ようやく答えた奈緒が困惑の笑みを浮かべ、うっすらと悲しそうに道路へと視線を下げる。「わたしが わるい。だって よだれを たらしてしまうから。わたしもだめ だなって 思うから」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、寺内勇人は高校三年生。妹の茜は高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
神木さんちのお兄ちゃん!
雪桜 あやめ
キャラ文芸
✨ キャラ文芸ランキング週間・月間1位&累計250万pt突破、ありがとうございます!
神木家の双子の妹弟・華と蓮には"絶世の美男子"と言われるほどの金髪碧眼な『兄』がいる。
美人でカッコよくて、その上優しいお兄ちゃんは、常にみんなの人気者!
だけど、そんな兄には、何故か彼女がいなかった。
幼い頃に母を亡くし、いつも母親代わりだったお兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんが彼女が作らないのは自分達のせい?!
そう思った華と蓮は、兄のためにも自立することを決意する。
だけど、このお兄ちゃん。実は、家族しか愛せない超拗らせた兄だった!
これは、モテまくってるくせに家族しか愛せない美人すぎるお兄ちゃんと、兄離れしたいけど、なかなか出来ない双子の妹弟が繰り広げる、甘くて優しくて、ちょっぴり切ない愛と絆のハートフルラブ(家族愛)コメディ。
果たして、家族しか愛せないお兄ちゃんに、恋人ができる日はくるのか?
これは、美人すぎるお兄ちゃんがいる神木一家の、波乱万丈な日々を綴った物語である。
***
イラストは、全て自作です。
カクヨムにて、先行連載中。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる