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一年生の二学期
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ぺこりと頭を下げた奈緒に、魚子が「杏奈に言えば、上手くやってくれるから」と冷たく諭す。
「いいえ、わたしは、転校 し ま せ んっ」
「クビになるよ」
「それでもやる」
頑として突っぱねた菜緒を見て、魚子が不愉快な様子をあらわにして訊いた。
「なんでそんなに頑ななの? 転校したほうがいいよ。ひらがなから書くとか、あいうえおを言うとかからしてくれるところに行きなって。それから出直してきたらいいじゃん、今じゃなくたって。健常者についてこれないでしょ? 大変なのあんただよ。周りに迷惑かけてまで来るところじゃないしさ。右半身不随なのに、なんで来ちゃったの」
それを聞いた途端、顔をしかめた奈緒が急にキレて叫んだ。
「なによ、わたしは病気だから仕方がないでしょ。わたしだってなりたくてなったんじゃないやい。もうもう、そんなことするから小沢さんにシメられる。杏奈ちゃんも先生に言う。わたしだって怒る。わたしは好きで障がい者になったんじゃないもん。みんなだってやーやーやーって言うもん。それなのにそんなひどいこと言っていいと思っているのぉ? ひどいんだぁ。わたしだって、じょ し こうせい だやいっ」
そう言って魚子の肩をぽかりと叩いた。
「ここんとこ、こうしてやるっ」
えらい勢いでがばりと襲いかかって爪を立て、一心不乱に二の腕をつねる。
「なんとかがなんとかだから、自分でやるんだったら、もー、はーあぁ」ため息をつき、「ああっん、あんだぁ!」と叫んで「あなた、あのねぇ、わたし、なんとかないからいいよね」とまくしたてる。
手がつけられなくなった奈緒に、何度も二の腕をむしられた魚子は、思わず頬を強くはたいた。
一瞬呆けたこの子が我に返って叫ぶ。
「あーあー、なぐった。いけないんだ、わたしもぷんぷんでぷんって怒るんだから。信じられないから、わたしは、小沢さんに言います。杏奈ちゃんに言います。そうして怒られればいいっ」
罪悪感を取り押さえるような表情になるも、魚子は奈緒ののど元を掴んで黙らせる。
「いたい、離して、いたい」
奈緒は苦しそうにもがくが、圧倒的な力の前になす術が無く、プレハブの壁に押さえつけられた。
「いいえ、わたしは、転校 し ま せ んっ」
「クビになるよ」
「それでもやる」
頑として突っぱねた菜緒を見て、魚子が不愉快な様子をあらわにして訊いた。
「なんでそんなに頑ななの? 転校したほうがいいよ。ひらがなから書くとか、あいうえおを言うとかからしてくれるところに行きなって。それから出直してきたらいいじゃん、今じゃなくたって。健常者についてこれないでしょ? 大変なのあんただよ。周りに迷惑かけてまで来るところじゃないしさ。右半身不随なのに、なんで来ちゃったの」
それを聞いた途端、顔をしかめた奈緒が急にキレて叫んだ。
「なによ、わたしは病気だから仕方がないでしょ。わたしだってなりたくてなったんじゃないやい。もうもう、そんなことするから小沢さんにシメられる。杏奈ちゃんも先生に言う。わたしだって怒る。わたしは好きで障がい者になったんじゃないもん。みんなだってやーやーやーって言うもん。それなのにそんなひどいこと言っていいと思っているのぉ? ひどいんだぁ。わたしだって、じょ し こうせい だやいっ」
そう言って魚子の肩をぽかりと叩いた。
「ここんとこ、こうしてやるっ」
えらい勢いでがばりと襲いかかって爪を立て、一心不乱に二の腕をつねる。
「なんとかがなんとかだから、自分でやるんだったら、もー、はーあぁ」ため息をつき、「ああっん、あんだぁ!」と叫んで「あなた、あのねぇ、わたし、なんとかないからいいよね」とまくしたてる。
手がつけられなくなった奈緒に、何度も二の腕をむしられた魚子は、思わず頬を強くはたいた。
一瞬呆けたこの子が我に返って叫ぶ。
「あーあー、なぐった。いけないんだ、わたしもぷんぷんでぷんって怒るんだから。信じられないから、わたしは、小沢さんに言います。杏奈ちゃんに言います。そうして怒られればいいっ」
罪悪感を取り押さえるような表情になるも、魚子は奈緒ののど元を掴んで黙らせる。
「いたい、離して、いたい」
奈緒は苦しそうにもがくが、圧倒的な力の前になす術が無く、プレハブの壁に押さえつけられた。
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