FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🐿️

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 奈緒は辺りを見渡す。
「つろむくんがいない」
「土屋君ね」
「うん、つ ち や くん」
「務君はバイトがあるって先に帰った。間に合うし一緒に帰ろうって言ったんだけど、引継ぎとかもあるから先行くだって」
 少し間があった。
「でも、そんな性格のおかげで、成瀬さんのことも考えてくれているんだよ。普段なんにも言ってくれないから分からないかもしれないけれど」
「言ってくれたら い い なぁ、お礼して いない から。言ってくれたら、たらいいなぁ と思う」
「言わないと思うよ。前もそうだったもん。まだわたしたちが学年生徒会に選ばれたばかりの頃ね、朝礼でなにかの発表があって生徒会がその準備のために朝早くに学校に来なくちゃいけない時が合ったんだけど、務君だけ来ないの。あとで生徒会長が訊いたら、謝るだけで言い訳しないの。問い詰められてやっと白状したと思ったら、忘れていました、すいませんでした、だって。最初なにそれって思ったけれど、次の日になって真相が分かったの。女の人が職員室に来て、迷子になったうちの子供を助けてくれてありがとうございましたってお礼を言ったんだって。よくよく聞いてみると、生徒会が集まらなきゃいけなかった日、引っ越してきたばかりの女の子の初登校の日だったらしいんだけれど、道が分からなくなって泣きながらさ迷っていたんだって。そこに務君が通りかかって声をかけたんだけど、おかあさん、おかあさん、て泣きじゃくるばかりだし、おうちは分からないって言うし、警察にも行きたくないって言うから、仕方なく一緒に分かるところを探して回ったらしいの。務君たら、つないだ手がぎゅっと握り返してきたから、可哀想で離せなくなっちゃったんだってさ。言ってくれればよかったのにってわたしが言ったら、うんって言いながら照れてた。なんか奥手でかわいいなって思っちゃった。内緒だけどね」
「ふーん、いいお話だ」
 一瞬会話が途切れたが、杏奈が言葉の紐を繋ぎ戻す。
「それで、最近はどう?」
「なにが?」きょとんと訊き返す。
「いじめってまだあるの?」
「杏奈ちゃんの お かげで、ちょくせつ言われなく なった。でも、まだ“おともどち”は できない」
「無理にたくさん作らなくてもいいよ。わたしがいるじゃん。なんでも相談して」
「うん、でもたくさん 作る。目標 だから」



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