43 / 838
一年生の二学期
🐿️
しおりを挟む
「うん」と頷いたこの子が続ける。
「わたしは、みんなの言っているこ と が 難しくて分から ないから、あっちからこっちだけ れ ど、生まれたばかりは、石原先生が 調布まで来てくれて、お勉強して めまいが した。いろ いろ な絵を 見ても、その…名前が分から なくて、そして、 あれとかあれとか、なのが、なんのためか分から なくて。それもりんごが言えて、言いっぱなしで 分からないです から、分から ないです。
もともと静脈がき れいで、脳梗塞とくも膜下出血で 十五時間しゅじゅつをしました。向こうの病院に行って、そして、今、近くの クリニックです。脳神経、一カ月ににいちど。土曜日の午後。わたしは 二カ月に一度、一年に一度、大学病院で す。れいわさんねん一 月ごろから、ひらがなや漢字がわからなくなったけれど、 それより寝ているほうが いいです」
しどろもどろ言った後、急にはっきりとした発音で、「だって寝ている時は幸せなんだもん」と締め括る。
春樹が口を開いた。
「鈍感力ってあるじゃん。気づかないっていうのも力だよね。横綱つな子もいじめをいじめだって思えないマインドというかバイタリティがあって、カーストで下に立たされることがなかったんでしょ」
奈緒が笑う。
「わたしは忘れっぽいけど、でも いいよね。やなことも忘れるから。いろ いろ できないことはある けれど、これだけは 神様の贈り物の ように 思える。だってこの間、モモタのアニメを忘れて、あ~あ、ってなったけど、お母さんにパワーメイト[お菓子の名前]もらったら、もう忘れて、今思い出した」
杏奈が感慨深そうに頷く。
「うんうん、ここまで来るのに本当苦労したよね。務君が立ち上がってくれたのが大きかったと思う。やっぱり男の子ってすごい。高木君も友情見せてくれたし、小沢さんもかばってくれたし」
腑に落ちない様子の南が、声を曇らせる。
「一番苦労したのは、成瀬だよね。障がい抱えているのに高校に通おうって思えたのがすごいし、それでちゃんと通ってきてるんだからさ」
徐に自分の右手を見る。
「この間わたし、この利き手が使えなかったらって考えてみたんだけど、なにもかもだめ。ほんの些細なことだって左手だけでやろうとするとすごいストレスで、すぐに右手使っちゃう」
「わたしは、みんなの言っているこ と が 難しくて分から ないから、あっちからこっちだけ れ ど、生まれたばかりは、石原先生が 調布まで来てくれて、お勉強して めまいが した。いろ いろ な絵を 見ても、その…名前が分から なくて、そして、 あれとかあれとか、なのが、なんのためか分から なくて。それもりんごが言えて、言いっぱなしで 分からないです から、分から ないです。
もともと静脈がき れいで、脳梗塞とくも膜下出血で 十五時間しゅじゅつをしました。向こうの病院に行って、そして、今、近くの クリニックです。脳神経、一カ月ににいちど。土曜日の午後。わたしは 二カ月に一度、一年に一度、大学病院で す。れいわさんねん一 月ごろから、ひらがなや漢字がわからなくなったけれど、 それより寝ているほうが いいです」
しどろもどろ言った後、急にはっきりとした発音で、「だって寝ている時は幸せなんだもん」と締め括る。
春樹が口を開いた。
「鈍感力ってあるじゃん。気づかないっていうのも力だよね。横綱つな子もいじめをいじめだって思えないマインドというかバイタリティがあって、カーストで下に立たされることがなかったんでしょ」
奈緒が笑う。
「わたしは忘れっぽいけど、でも いいよね。やなことも忘れるから。いろ いろ できないことはある けれど、これだけは 神様の贈り物の ように 思える。だってこの間、モモタのアニメを忘れて、あ~あ、ってなったけど、お母さんにパワーメイト[お菓子の名前]もらったら、もう忘れて、今思い出した」
杏奈が感慨深そうに頷く。
「うんうん、ここまで来るのに本当苦労したよね。務君が立ち上がってくれたのが大きかったと思う。やっぱり男の子ってすごい。高木君も友情見せてくれたし、小沢さんもかばってくれたし」
腑に落ちない様子の南が、声を曇らせる。
「一番苦労したのは、成瀬だよね。障がい抱えているのに高校に通おうって思えたのがすごいし、それでちゃんと通ってきてるんだからさ」
徐に自分の右手を見る。
「この間わたし、この利き手が使えなかったらって考えてみたんだけど、なにもかもだめ。ほんの些細なことだって左手だけでやろうとするとすごいストレスで、すぐに右手使っちゃう」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
ぼっち陰キャはモテ属性らしいぞ
みずがめ
ライト文芸
俺、室井和也。高校二年生。ぼっちで陰キャだけど、自由な一人暮らしで高校生活を穏やかに過ごしていた。
そんなある日、何気なく訪れた深夜のコンビニでクラスの美少女二人に目をつけられてしまう。
渡会アスカ。金髪にピアスというギャル系美少女。そして巨乳。
桐生紗良。黒髪に色白の清楚系美少女。こちらも巨乳。
俺が一人暮らしをしていると知った二人は、ちょっと甘えれば家を自由に使えるとでも考えたのだろう。過激なアプローチをしてくるが、紳士な俺は美少女の誘惑に屈しなかった。
……でも、アスカさんも紗良さんも、ただ遊び場所が欲しいだけで俺を頼ってくるわけではなかった。
これは問題を抱えた俺達三人が、互いを支えたくてしょうがなくなった関係の話。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる