FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🐿️

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「うん」と頷いたこの子が続ける。
「わたしは、みんなの言っているこ と が 難しくて分から ないから、あっちからこっちだけ れ ど、生まれたばかりは、石原先生が 調布まで来てくれて、お勉強して めまいが した。いろ いろ な絵を 見ても、その…名前が分から なくて、そして、 あれとかあれとか、なのが、なんのためか分から なくて。それもりんごが言えて、言いっぱなしで 分からないです から、分から ないです。
 もともと静脈がき れいで、脳梗塞とくも膜下出血で 十五時間しゅじゅつをしました。向こうの病院に行って、そして、今、近くの クリニックです。脳神経、一カ月ににいちど。土曜日の午後。わたしは 二カ月に一度、一年に一度、大学病院で す。れいわさんねん一 月ごろから、ひらがなや漢字がわからなくなったけれど、 それより寝ているほうが いいです」
 しどろもどろ言った後、急にはっきりとした発音で、「だって寝ている時は幸せなんだもん」と締め括る。
 春樹が口を開いた。
「鈍感力ってあるじゃん。気づかないっていうのも力だよね。横綱つな子もいじめをいじめだって思えないマインドというかバイタリティがあって、カーストで下に立たされることがなかったんでしょ」
 奈緒が笑う。
「わたしは忘れっぽいけど、でも いいよね。やなことも忘れるから。いろ いろ できないことはある けれど、これだけは 神様の贈り物の ように 思える。だってこの間、モモタのアニメを忘れて、あ~あ、ってなったけど、お母さんにパワーメイト[お菓子の名前]もらったら、もう忘れて、今思い出した」
 杏奈が感慨深そうに頷く。
「うんうん、ここまで来るのに本当苦労したよね。務君が立ち上がってくれたのが大きかったと思う。やっぱり男の子ってすごい。高木君も友情見せてくれたし、小沢さんもかばってくれたし」
 腑に落ちない様子の南が、声を曇らせる。
「一番苦労したのは、成瀬だよね。障がい抱えているのに高校に通おうって思えたのがすごいし、それでちゃんと通ってきてるんだからさ」  
 徐に自分の右手を見る。
「この間わたし、この利き手が使えなかったらって考えてみたんだけど、なにもかもだめ。ほんの些細なことだって左手だけでやろうとするとすごいストレスで、すぐに右手使っちゃう」



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