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一年生の二学期
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奈緒が笑う。
「わたしは 我慢 できていなよ。だって使えないから しょうがないなぁって なるだけ。それで、ぽいってして 他のことする。それもぽいってして、結局なんにもししないでぽいってしてるだけ。病院の石原先生とか センターとかの鴨志田さんが 手伝ってくだ さる から、続けて こられ ました」
「センターって?」春樹が訊く。
「心身障がい者 福祉 センター。ぴー.てぃー.とか、おー.てぃー.とか、えす.てぃー.とかをするの」
分からない様子のみんなに、奈緒が体の部位を触りながら説明を続ける。
「体と、ここ[上肢]の作業と、言語。だから、一人でいたらぽいって、ぽいって していた かもしれない。授業じゃなかったら勉強なんてしたくないし、おうちでテレビ見ていたい」
「それはわたしもだね」南が真顔で言った。
「小沢さんはもう少し勉強しないと。授業中いつも寝ているでしょ」
杏奈にそうつっこまれて、へらりとはにかむ。
「ばれた?」
「ばればれ。この間、地理の授業中、先生に起こされていたでしょ。肘ついて手に顎乗せて、指で目の周り覆ってつぶっているの分からなくてして、卑怯者って」
「あれ体罰だよね。教科書丸めたので頭叩かれた」
「げんこつでもいいくらい」杏奈が冗談めかして言った。
「わたしをなんだと思っているのよ」
南が顔をしかめると、割って入った奈緒が一言。
「石」
「うまい!」と春樹。
間髪入れずに答えた茶髪男子を南が睨む。すると彼はすぐさま見て見ぬふりをした。いがぐり少女は数秒したのち、奈緒に向き直って続ける。
「じゃあ、本当、大丈夫なのね、今は。いじめられているわけでもないし、誰からもいやな思いさせられてるわけじゃないのね。ウィップスの態度が横柄なくらいで」
奈緒は微かに視線を落として瞼を震わせ、瞳を少し潤ませるもすぐに顔を上げ、固唾を飲んで見守るみんなに微笑んで言った。「大丈夫」だと。
その言葉の語気は、すうっとみんなの肌に染み入る。力強い奈緒の返答に、その場にいた誰もが、それ以上つっこんで訊いてはこなかった。
そして、その日の奈緒は、終始笑顔だった。
「わたしは 我慢 できていなよ。だって使えないから しょうがないなぁって なるだけ。それで、ぽいってして 他のことする。それもぽいってして、結局なんにもししないでぽいってしてるだけ。病院の石原先生とか センターとかの鴨志田さんが 手伝ってくだ さる から、続けて こられ ました」
「センターって?」春樹が訊く。
「心身障がい者 福祉 センター。ぴー.てぃー.とか、おー.てぃー.とか、えす.てぃー.とかをするの」
分からない様子のみんなに、奈緒が体の部位を触りながら説明を続ける。
「体と、ここ[上肢]の作業と、言語。だから、一人でいたらぽいって、ぽいって していた かもしれない。授業じゃなかったら勉強なんてしたくないし、おうちでテレビ見ていたい」
「それはわたしもだね」南が真顔で言った。
「小沢さんはもう少し勉強しないと。授業中いつも寝ているでしょ」
杏奈にそうつっこまれて、へらりとはにかむ。
「ばれた?」
「ばればれ。この間、地理の授業中、先生に起こされていたでしょ。肘ついて手に顎乗せて、指で目の周り覆ってつぶっているの分からなくてして、卑怯者って」
「あれ体罰だよね。教科書丸めたので頭叩かれた」
「げんこつでもいいくらい」杏奈が冗談めかして言った。
「わたしをなんだと思っているのよ」
南が顔をしかめると、割って入った奈緒が一言。
「石」
「うまい!」と春樹。
間髪入れずに答えた茶髪男子を南が睨む。すると彼はすぐさま見て見ぬふりをした。いがぐり少女は数秒したのち、奈緒に向き直って続ける。
「じゃあ、本当、大丈夫なのね、今は。いじめられているわけでもないし、誰からもいやな思いさせられてるわけじゃないのね。ウィップスの態度が横柄なくらいで」
奈緒は微かに視線を落として瞼を震わせ、瞳を少し潤ませるもすぐに顔を上げ、固唾を飲んで見守るみんなに微笑んで言った。「大丈夫」だと。
その言葉の語気は、すうっとみんなの肌に染み入る。力強い奈緒の返答に、その場にいた誰もが、それ以上つっこんで訊いてはこなかった。
そして、その日の奈緒は、終始笑顔だった。
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