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一年生の二学期
🌻
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急に思い出したように春樹が言葉を挟み込む。
「そういえば、レモンケーキもあった」
「そういえば、レモン牛乳もあった」
南がテンポよく乗ると、春樹が首を傾げた。
「あったっけ?」
「ないよ」務がそつなく答える。
「あるの、栃木に」
へらりと笑う南に、杏奈が顔をしかめる。
「関係ないじゃない」
そうこうするうちに、だんだんと日差しが和らいできて、誰ともなく醸し出した解散の雰囲気の中、みんなはおしゃべりをやめて終焉の言葉を探す。
「結局なんにも決まらなかったね」
南が笑ってみんなに言うと、即座に杏奈がきりりとした視線を向ける。
「もう、小沢さんと高木君のせい。おしゃべりばかりしているから」
「でも、とても 楽しかった。わたしは 入学してから こんなに 楽しい 気 持 ち は じめて」奈緒も笑う。
みんな温かく微笑む中、この子が全員を見渡す。
「それでは最後によろしいでしょうか」
「なになに? 改まっちゃって」南が食い入る。
「わたしは、杏奈ちゃんと杏奈ちゃんと 呼んで、みんなを あ、あ、あ、杏奈ちゃんと 呼びたい」
「どういうこと?」春樹が訊く。
「だから、南ちゃんを南ちゃん。務君を務君。春樹君を春樹君。と 呼びたい」
「いいよー全然」
と、南。すぐにひらめき顔になると、舌状花冠のような光を放って笑う。
「それじゃーさぁ、わたしも成瀬のこと奈緒って呼んでいーい?」
「っっもちろんです」
眩しさに中てられたのか、須臾の間を置いた奈緒が興奮気味に食い入って答えると、春樹も了承して口端を上げる。
「俺はずっと奈緒だったな」
それに続いて、務も「いいよ」と頷いたので菜緒は、「うわぁーい、やったぁ」と、子供みたいな満面の笑みを湛えた。
「そういえば、レモンケーキもあった」
「そういえば、レモン牛乳もあった」
南がテンポよく乗ると、春樹が首を傾げた。
「あったっけ?」
「ないよ」務がそつなく答える。
「あるの、栃木に」
へらりと笑う南に、杏奈が顔をしかめる。
「関係ないじゃない」
そうこうするうちに、だんだんと日差しが和らいできて、誰ともなく醸し出した解散の雰囲気の中、みんなはおしゃべりをやめて終焉の言葉を探す。
「結局なんにも決まらなかったね」
南が笑ってみんなに言うと、即座に杏奈がきりりとした視線を向ける。
「もう、小沢さんと高木君のせい。おしゃべりばかりしているから」
「でも、とても 楽しかった。わたしは 入学してから こんなに 楽しい 気 持 ち は じめて」奈緒も笑う。
みんな温かく微笑む中、この子が全員を見渡す。
「それでは最後によろしいでしょうか」
「なになに? 改まっちゃって」南が食い入る。
「わたしは、杏奈ちゃんと杏奈ちゃんと 呼んで、みんなを あ、あ、あ、杏奈ちゃんと 呼びたい」
「どういうこと?」春樹が訊く。
「だから、南ちゃんを南ちゃん。務君を務君。春樹君を春樹君。と 呼びたい」
「いいよー全然」
と、南。すぐにひらめき顔になると、舌状花冠のような光を放って笑う。
「それじゃーさぁ、わたしも成瀬のこと奈緒って呼んでいーい?」
「っっもちろんです」
眩しさに中てられたのか、須臾の間を置いた奈緒が興奮気味に食い入って答えると、春樹も了承して口端を上げる。
「俺はずっと奈緒だったな」
それに続いて、務も「いいよ」と頷いたので菜緒は、「うわぁーい、やったぁ」と、子供みたいな満面の笑みを湛えた。
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