FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🐿️

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 奈緒の左側にいた杏奈が、少し身を寄せて言った。
「そうだよね。実はわたしもちかんに遭ったことあるの。高校入ってからなんだけど、あの時は本当にどうしていいか分からなくて動けずにいた。だって勘違いかもしれないし。なぜかわたしが悪い気がしてきちゃって、耐えるばかりだった。声を上げて周りに迷惑かけるのも申し訳ないって思ったし。運よく務君が同じ車両に乗り合わせていて声かけてくれたから、助かったの。今考えると、ちゃんと言わなきゃって思うのだけど、やっぱり言えないと思う」
「知らなかった」務が驚く。
「うん。言わなかった。務君がおはようって言ってくれた瞬間から、ちかんなくなったし。それにやっぱり言いづらいし、その一回だけだったし。確かあの時も、人身事故か救急搬送で電車遅れていたのよね。何事もなければ、大抵は女子高生で満員じゃない? そんな中でちかんする人いないでしょ。今は隣にいつも務君がいるし、大丈夫だと思う。でも女性専用車を増やしてほしいよね。あと防犯カメラがついたやつ。中学の時に五反田に用事があった帰り、渋谷に行ってみようって思って電車乗った時に、一度だけ見たことあるの」
 南が後ろから口を挟む。
「でも、満員だったら頭しか映らないんじゃない?」
「うん。でも位置関係は分かるでしょ。それにちかん以外の被害も抑制できるでしょ。わたし、お財布盗まれたことあるのよ」
 奈緒たちがぎょっとして見やる。その視界の中心で、杏奈が続ける。
「わたしがばかだったんだけれど、持っていたトートバッグにいっぱい入った荷物の上に、ぽんって置いていたのよ。もう、盗ってくださいって言っているようなものよね。ショックだった。お金は千円くらいしか入っていなかったんだけど、お母さんから誕生日プレゼントに買ってもらった大切なお財布だったし。だから申し訳なくて言えなかった。結局一年くらいお小遣い貯めて、同じの買っちゃった」
 難しそうな顔した南が、「うんうん」と頷く。
「そういうことならわたしもよくある。リュックに入れておいたリップクリームがいつもなくなるんだよね。小物入れのとこのチャック閉め忘れてるわたしが悪いんだろうけど、よく盗まれる」





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