FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

第三十六話 奈緒の知らない世界

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 放課後の書道教室。相変わらず、ウィップスの三人は何もしない。いつものように、魚子、暖乃、杏奈の三人はお菓子を食べながらおしゃべりをしていたし、かおりはそのそばで音楽を聴いていた。
 いつもは部屋の中央にいて一人でバウンスを繰り返す奈緒だったが、黙って佇んでみんなの話を聞いている。
 魚子が「そういえば――」と口を開いた。
「この間、小さなスタジオであったバトルに参加させてもらったんだけど、結構いい線いったんだよね。選手権とかにも出てる人が主催したやつで、褒められちゃった」
 いつもの印象とは違うおどけた顔をして笑う。
「へぇ、すごい」杏奈が称揚して、「そういえば、連続でAトラ出来るようになった?」と質問をぶつける。
「楽勝――とか言いつつ半年かかった。今はベビーウィンドミル始めたとこ。トーマスかましたくてたまに練習するけど、全然むり。いつかはエアー[エアトラックス]にも挑戦したいけど、マジやってられないの。今の体力じゃ厳しすぎる。ヘッドスピンなら見た目簡単そうだからやってみたけど、手を使わないと出来ない。ノーハンドでヘッドしようとしたけど、一瞬たりともキープできない。ていうか無抵抗に終わるの」
「女の子でパワームーブに特化してるってすごいよね。わたしだったら絶対出来ない。この間、三人が校舎裏で練習しているところ見たけど、トップロックのスピードもキレも増してるし、トランジションもスムーズでびっくりした。ナナの、軟体系にパワームーブ織り交ぜて、フリーズしてコンボ繰り返すところなんて最高。エントリーから飛ばしっぱなしで、でも緩急つけて、全然飽きさせないから目が離せなかったよ」
「あは、ありがとう」魚子が可愛く照れ笑った。
 暖乃がかまってほしそうに身を乗り出して、上目遣いで微笑む。
「ねえ、わたしは? わたしも褒めて」
 ブレザーの袖を引っ張られて、自らを指さす暖乃に顔を向けた杏奈が、花唇の端を引き上げた。
「のーののセンスはすごいよ。もう一挙手一投足が全部ダンスだもの。パワームーブはしないみたいだけど、関節どこに曲がってるのっていう動きだし、なんか骨全部軟骨でできてそうな動き。ブレイクダンスの雰囲気壊さずにロックダンスの振り入れたり、ヒップホップ感出したり、いろいろ出来るのが素敵。ウィップスにいいクセ付けてると思うよ」
「本当? うれしー。でもパワームーブ出来ないのは、ひそかな悩みなのよねー。ひみつだけど、三転倒立できないし」
「気にすることないよ。ナナがそっちで攻めてるんだから、立ち踊りで盛り上げていけばいいと思う。みんな部活でダンスしてる子とか、ヒップホップ習ってる子が多いじゃん。そっちで挑発してこられてもやり返せるなんてすごい強み。ソロで一気に雰囲気変えるようなダンス見せられるし、ルーティンでがっつりフロア見せつけてやれば、すっごくいいよ」







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