FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🍭

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 奈緒が頷くのと同時に、南が呆れる。
「芋けんぴじゃないじゃん」
「どっちでもいいの。美味しいから」
「食い意地はってる」
「食欲モンスターだな」
 南と春樹が続けてかぶせあう。
 べつに褒められたわけでもないのに、なぜか奈緒はきりりとかっこよく表情だけ決めて、どや顔で微笑んだ。
 そんなこんなで、わいわいがやがやとごはんを口へと運ぶ。しばらくしてみんなが食べ終わると、杏奈がお弁当箱をかたして顔を上げた。
「それじゃあ教室戻ろっか。わたしが鍵閉めて先生に返しておくから、先に帰っていいよ」
「ばいばいね。午後の勉強気をつけてね」
 奈緒が手を振ると、南が冷淡な表情を向ける。
「なに言ってんの。奈緒も帰るんだよ」
「うへぇ、いやだ」
 そう言って立ち上がると、ベッドに潜り込む。
 それを南が、その身と声で追いかける。
「ほら、サンドウィッチの包み捨ててないよ」
 南が一つに集めて水切り袋に詰めるのを見もせず、背中で答える。
「やって。わたしやらないっ。つらいから」
 おがくずに潜るハムスターのように丸まった奈緒が、布団越しに続ける。
「今日はひどい目にあったからいいの。はぁ、もう生きていけない。お昼寝しないと生きていけないやつだ」
「来て早々寝てたのに、まだ寝る気? 補習増えるよ」
「ううん。いいやつだから。きょうはいいって先生も言うよ」
 奈緒は、笑みを湛えていることがはっきりと分かる瞳を布団から出して、バイバイをしてみんなを見送る。
 放課後やって来た担任の先生は奈緒をいたわったのち、保健室で普通に補習を行い、今日の授業分も含めた宿題を大量に出して、土日にするようにと指示を伝え、完膚なきまでに奈緒の思惑を破壊して、職員室へと戻って行った。

 あれだけ電車通学を嫌がっていたこの子だったが、後日学校を休むことはなかった。電車に気後れしないばかりか、以前にも増して通学を楽しんでいるようだ。というのも、それからしばらくの間、奈緒は登校の準備が整うと、「行きまーす。もおすぐ行きまーす」と、家から務に電話するのが日課になったからだった。




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