FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🐿️

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「あたしらも生まれてなかったよ」魚子がつっこむ。
「あはは、そうだよね」暖乃爆笑。おなかを抱える。「ほら、いっとき世界的に流行ったけど、すんごいハードで誰も続かず速攻下火って歴史があるじゃん。あの後すぐヒップホップの波が来ちゃったようだし」
 魚子と杏奈のそばに来て続ける。
「いまだにブレイクダンス、なにそれ? って言う人いるし、不良扱いされることもあるし」
「ああ」魚子が、理解したそぶりで首を縦に振り、声を発した。「おじいちゃんでしょ? いやな顔するの。あの世代にはそう見えるのかな。あたしらの親世代は違うじゃん。あの世代が一度目のブームの時だから、理解度高いよね」
「そう。おじいちゃんに小言言われると両親が助けてくれる」
 魚子が吹き出す。
「あの夜な夜な踊りに行ってたっていう両親ね」
「そう。でもお父さんもお母さんも言ってた、だいぶ変わったって。自分たちの時代は親から忌み嫌われたって。確かにそうだよね。わたしたちの親の下の世代は、CD百万枚なんてあたりまえだった時代でしょ? CD買うって感覚が意味不明だけど。出せば売れるってすごいよね、あのwith でくっついてた人」
 杏奈がひきつった笑顔を見せる。
「そんなことないよ。わたしの親だってのーののおじいちゃんと同じようなものだもの」
「職業柄でしょ。うちのおじいちゃん社畜だもん。わたし、おじいちゃんにダンスのこと説明したら、なんだ、ギャングの抗争から生まれたんか、そんなものやめろっていやな顔された。うちのマンション社宅だから、近所でも噂されるみたい。親は気にしてないみたいだけれど、おじいちゃんが気にしてるの」
 肘をついた安奈は、右手の甲に頭をのせて苦笑する。
「それで、敷地でダンスするなってなったんでしょ?」
「うん。おじいちゃんもお父さんと同じ会社で働いていたから、元部下がどう思うかとかが気になるのかも。確か今役員らしいから。お父さんその部下でしょ? でもホームルームで杏奈が言っていたみたく、子供たちたくさん来るから、それで気に入られれば、集団の圧でおじいちゃんの意見変えられるかも。おじいちゃんには出し物ダンスだって内緒にしてあるの。それで招待しちゃった。それに子共たちがダンス始めるきっかけになれれば、わたしも嬉しいし」
 靴音が廊下に響いて、バウンスを繰り返す奈緒の鼻息以外が凍り付くと、すぐにドアが開いて南が入ってきた。
 それに呼応する形で杏奈が立ちあがる。
「それじゃあ、わたし行くね」
 そう言ってウィップスの三人に手を振り、奈緒にも声をかける。
「がんばってね。リズムとれるようになってきているから、その調子でね」
「どこがだよ」と小さくぼやく魚子に反応することなく奈緒に微笑みかけ、手を振って「はぁい」と応えたこの子にバイバイをした杏奈は、少し南と話をして出て行く。その瞬間から、先ほどまでの雰囲気とは打って変わって、広い部屋が沈黙に沈む。


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