FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🍭

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 ブレザーのポケットに両手を突っ込んで壁に寄りかかった姿勢でしばらく奈緒を見ていた南が、机に上げた足を組んで雑誌を読んでいる魚子に視線を向ける。
 ブレイズの女子は、黒地に数本の白いラインが入ったジャージを上下着ていた。袖が長くて手のひらが隠れていたから、そこから伸びる指と、ダイヤモンドダストが鋭く光るようなラメのネイルが印象的だ。
 南の口から声が飛び出す。
「なんだよ、そのジャージ。学校の持ってて、なんでそれ持ってきてんの?」
「知らね、捨てた」
 魚子が言葉を吐き落とすと、南が足元の白のスニーカーを見て付け加える。
「靴もじゃん。学校のがあんのに」
「これじゃなきゃ踊れない」そう言いながらページをめくる。
 それからしばらく、誰もが無言だった。奈緒の「ふん、ふん」という鼻息だけが聞こえる。
 業を煮やした南が、魚子に訊いた。
「羽鳥さぁ、あんたはずっとファッション雑誌を読んでいるし、深谷はずっとスマホをいじっているし、相沢はヘッドホンで音楽を聴いていて、誰も奈緒をかまう様子ないじゃん。この子はこの子で頑張ってるけど、最初にあんたから指示されたダウンをずっと繰り返しているだけだったら上達できないよ」
「はぁ? ないよ、そんなもん」魚子が鬼の首を取ったように叫ぶ。
 卓上のスマホから流れる音楽のリズムとは外れ気味にバウンズを繰り返す奈緒は、動作を続けながら二人の話に耳を傾ける。
「なんで。今奈緒がしてるじゃん」南が声を荒げる。
「ダウンもアップもないの。日本では便宜上言い分けてるけど、本来全部バウンズ。本場のアメリカでは言い分けてない」
「ふーん」と聞き流して、唯一の短髪少女が続ける。
「でもとりあえず踊らないの? ずっとこれじゃあ、練習にならないじゃん」
「いいんだよ、これで。リズムとれないやつは踊るな」
「あんたたちは?」
「やるよ、そのうち」
 魚子は雑誌から目をそらさない。
 それからまただいぶ経って、陽が傾いてきた。窓から黄土色めいた赤い夕陽が差し込むと、魚子が声を出して背伸びをした。
「んじゃ、あたしら帰るから。戸締りよろしく」
 そう言って、暖乃とかおりを引き連れて出て行く。
「なんだよ、結局踊らないじゃん」南が呆れる。
 奈緒は、彼女と顔を見合わせて笑うしかなかった。
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