FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🍭

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 それに気がついた彼女が、微笑を返して諭す。
「少しは我慢しなきゃ。十二月の交流会までもう一カ月きっているんだよ。それまでに仕上げようと思ったら、少しはスパルタになるのもしょうがないじゃない。なんでもかんでもいじめ扱いしたら、ナナが可哀想よ。障がいのある成瀬さんをなんとか踊っているように見せようとしてくれているんだから、感謝して頑張らないと」
 予想だにしない言葉だったのか、奈緒は絶句した。何かを言う間もなくおしりに小さな衝撃を受け、身を強張らせてつんのめると、すぐに後ろを振り向く。そこにはニカッと笑うかおりがいた。彼女は、奈緒のおしりをサッカーボールでも蹴るかのようにつま先で小突いたのだった。
 繰り返しおしりを小突かれる奈緒は、再び杏奈を見る。だが、彼女は何も言わない。
 水風船が割れるように、奈緒が「や め て」と叫ぶ。それと同時に振り返って、ちょうど上がってきたかおりの右足をはたいた。
 よろめいた彼女は数歩下がりながら、なんにもやっていません、と言いたげなジェスチャーをしてすぐに距離を詰めると、奈緒の肩に手を添えて、また反対を向かせる。今度はしゃがんであぐらをかいて、ジャブをするように、しゅっ しゅっ、しゅっしゅっしゅっ、とリズムカルに手の甲でおしりをたたく。
「やめてって言っているでしょう」奈緒が大声を張り上げる。
 それを遮って杏奈が言った。
「リズムは体で覚えるんだよ。成瀬さんは頭で考えてバウンスしているでしょ。だから遅れるの。音楽が耳に届いてそれから考えて合わせようとするから合わない」
「でも合 う と き は あるよ」奈緒が反駁する。
「違うの、それ。ちょうど一周遅れた時にリズムがあったように思えるだけで、結局それにものれなくてずれちゃうでしょ。体で感じて刻まなきゃ、いつまでたっても合わないよ」
 奈緒は、杏奈に説得されてしぶしぶ従うが、すぐに声を上げた。
「でもいたい。これはいじめですから、もう やめて くださいっ」
 すると杏奈は声色を変えずに飄々とした様子で、「もう少しやさしくしてあげて」と、その根元を一瞥する。
 それを受けて、かおりはジャブの威力を弱めて、リズムを刻みながら繰り返し、時折音楽に合わせて音ハメをした。
 杏奈がスパルタ指導を調整してくれたおかげで、体罰化したりはしなかったが、ダンスを楽しむといった雰囲気からは、だいぶ離れた環境だった。







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