FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

第五十話 ウィップスになれた日

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 流れてきたイントロは、最初にかおりがスマホで再生したオリジナル曲とは、だいぶ曲調が変わっていた。実は前日のお昼休みに、三階にある定時制教材室のわきにあるバルコニーに、奈緒とウィップスに杏奈を加えた五人が集まって、作戦会議を兼ねた昼食をとった際に、この子はアレンジについて知らされていた。数年前にヒットしたとはいえ、松宮美々の曲は再生数が多かったというだけで、テレビでたくさん流れたわけではなかったから、子供や年配者には聞聴き馴染みがないだろう、という魚子の判断だった。編曲は、かおりがネット上でお願いしたらすんなり何曲も集まったので、その中から三人が決めて、奈緒に事後報告したというわけだ。
 ノリのよりレゲエにアレンジされていたそれには不釣り合いだった白色の照明が急に消されて、後方の観覧席から色とりどりのスポットライトが代わる代わる照らされはじめ、ステージ上が極彩色に染まる。予定にない演出だ。実行委員の照明担当が、アドリブで気を利かせてくれたのだろう。
 おもしろいことに、スカっぽいパーカッションにサックスフォンとトランペットの音が加えられていて、すこしハウスっぽくもあり、吹奏楽の宝島をも連想させる。
 舞台袖では、制服姿で慌てた様子の実行委員に詰め寄られる杏奈が、首を傾げたり手のひらを上に向けて何か話しているが、生徒会と実行委員の大半は何事も無かったかのように落ち着き払っている。そして会場にいるお客さんたちは、一曲増えていることにも気がつかない様子で、手拍子を始めていた。
 客席を温めるために用意した長めのイントロが終わる頃には、子供たちも思い思いに踊り始めている。もうこうなっては、奈緒たちを止めることは、誰にもできないだろう。

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