188 / 838
一年生の二学期
🍰
しおりを挟む
断面を上に向けて置かれた、ブルーベリーほどの大きさがある半球状の果実のそばに二つ刺さったヨットの三角セイルのような飾りを、杏奈がつつく。
「この金色のは飾りみたいだけど、もう一つはチョコみたいね。あ、凝ってる。見て、楽譜が描いてあるわ」
フォークでチョコを倒してみんなに教える。そして、そのチョコを食べたあと、のっていた果実を口に含んで「あらっ」と声を発した。
「これ、サクランボじゃなくて、ラズベリーね。ということは、中のつぶつぶは種? フランボウってもしかして、フランボワーズのことかしら」
「おいしそうでいいなぁ。小さくて大人びた姿をしてる」
「今度頼んでみたら?」と、務が奈緒に提案した。
「ううん。遠慮します。小さいから」
みんながこらえるように、「くふっ」と笑った。
この子の視線に気がついたのか、務が自然に話し始める。
「僕のは、ザクザク食感のとても甘い生地だよ。乗っているのは洋ナシかな」
切り分けた時に落ちた洋ナシをパータシュクレに乗せて口に運ぶ。
「洋ナシがひんやりとしていて、甘みを緩和してくれてちょうどいい味になるけど、でも僕には甘すぎるかな」
しっとりと艶やかなナパージュを身に纏う洋ナシを見つめながら、奈緒は唾を飲み込む。
アレキサンダーをパクパクと食べながら、唐突に春樹が言った。
「なんかこれ、ダブリンペッパー[ジュースの名前]みたいな味がする」
「あ、やっぱり? わたしも昨日それ食べて思ったんだよね。その実なにかな?」南が問う。
「分かんないけど、サクランボじゃね?」
杏奈が笑いながら言った。
「でも、なんでダブリンペッパーで表現するの? エレガントな見た目なのに、急に庶民化しちゃうじゃない」
「でも、これしか表現ねーし、なにで味付けしたらこんなんなるかも分かんねーもん。なぁ」
春樹が南に同意を求める。
「わたしら庶民には、愛するダブリンペッパーだけがあればいいんだと思う」
頷きながら聞いていた春樹が、コーラを飲み終わって言った。
「半分は砂利みたいな氷だけど、なんか工夫したら面白んじゃね? 丸い氷とか、模様が入ったやつとか。下のほうが紫色に染まっているだけでも目を引くけど」
みんなが不思議にそうに見つめる。
「この金色のは飾りみたいだけど、もう一つはチョコみたいね。あ、凝ってる。見て、楽譜が描いてあるわ」
フォークでチョコを倒してみんなに教える。そして、そのチョコを食べたあと、のっていた果実を口に含んで「あらっ」と声を発した。
「これ、サクランボじゃなくて、ラズベリーね。ということは、中のつぶつぶは種? フランボウってもしかして、フランボワーズのことかしら」
「おいしそうでいいなぁ。小さくて大人びた姿をしてる」
「今度頼んでみたら?」と、務が奈緒に提案した。
「ううん。遠慮します。小さいから」
みんながこらえるように、「くふっ」と笑った。
この子の視線に気がついたのか、務が自然に話し始める。
「僕のは、ザクザク食感のとても甘い生地だよ。乗っているのは洋ナシかな」
切り分けた時に落ちた洋ナシをパータシュクレに乗せて口に運ぶ。
「洋ナシがひんやりとしていて、甘みを緩和してくれてちょうどいい味になるけど、でも僕には甘すぎるかな」
しっとりと艶やかなナパージュを身に纏う洋ナシを見つめながら、奈緒は唾を飲み込む。
アレキサンダーをパクパクと食べながら、唐突に春樹が言った。
「なんかこれ、ダブリンペッパー[ジュースの名前]みたいな味がする」
「あ、やっぱり? わたしも昨日それ食べて思ったんだよね。その実なにかな?」南が問う。
「分かんないけど、サクランボじゃね?」
杏奈が笑いながら言った。
「でも、なんでダブリンペッパーで表現するの? エレガントな見た目なのに、急に庶民化しちゃうじゃない」
「でも、これしか表現ねーし、なにで味付けしたらこんなんなるかも分かんねーもん。なぁ」
春樹が南に同意を求める。
「わたしら庶民には、愛するダブリンペッパーだけがあればいいんだと思う」
頷きながら聞いていた春樹が、コーラを飲み終わって言った。
「半分は砂利みたいな氷だけど、なんか工夫したら面白んじゃね? 丸い氷とか、模様が入ったやつとか。下のほうが紫色に染まっているだけでも目を引くけど」
みんなが不思議にそうに見つめる。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる