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一年生の三学期
🚕
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奈緒が叫ぶ。
「ああん、もう! パトカーどこですか?」
「どこにもありませんが」
「パトカーで す かっ?」
「どれがですか?」
「パトカーできますか?」
運転手は困った様子で、左わきを見た。
「そう言われましても分かりませが。そこに警官がいますよ。なにかお困りでしたら、あの方に訊いてみたらいかがですか?」
奈緒は「だめぇっ!!」と大きく叫んでから、宙を叩くように左手をバタバタさせた。
「ちょっと待ってください。わたしは、身体障がい者なので、言葉が上手く出ません。ご めん な さ い」
奈緒に焦りの色が浮かんできた。そうなるのも至極当然だ。なにしろドアウィンドウ越しに、警官が奈緒を観察するように覗き込んできていたのだから。しかも似顔絵でも描くかのようなそぶりを見せる。
ああでもないこうでもないと、奈緒が支離滅裂に言葉を発していると、赤いスクーターのキーを警官が取った。
その瞬間、緊張が極まった様子の奈緒は、一瞬の間考え込んだあと口を開いて、速攻で声を発する。
「“ぱとかあ”がなるところにおねがいします」
「なるところ? 近くに警察署がありますけど」
「それでは、そこまで、お願い します」
運転手が、もう一度警官を見る。そして言った。
「緊急でしたら、そこの警官に言って、無線で連絡してもらったほうがよろしかと思いますが」
「いいえ。だいじょうぶですから、警察署でお願いします」
「分かりました」
運転手はそう言って、車を発進させる。
フロントミラーに映る警官は、ずっとタクシーを見続けていた。
「ああん、もう! パトカーどこですか?」
「どこにもありませんが」
「パトカーで す かっ?」
「どれがですか?」
「パトカーできますか?」
運転手は困った様子で、左わきを見た。
「そう言われましても分かりませが。そこに警官がいますよ。なにかお困りでしたら、あの方に訊いてみたらいかがですか?」
奈緒は「だめぇっ!!」と大きく叫んでから、宙を叩くように左手をバタバタさせた。
「ちょっと待ってください。わたしは、身体障がい者なので、言葉が上手く出ません。ご めん な さ い」
奈緒に焦りの色が浮かんできた。そうなるのも至極当然だ。なにしろドアウィンドウ越しに、警官が奈緒を観察するように覗き込んできていたのだから。しかも似顔絵でも描くかのようなそぶりを見せる。
ああでもないこうでもないと、奈緒が支離滅裂に言葉を発していると、赤いスクーターのキーを警官が取った。
その瞬間、緊張が極まった様子の奈緒は、一瞬の間考え込んだあと口を開いて、速攻で声を発する。
「“ぱとかあ”がなるところにおねがいします」
「なるところ? 近くに警察署がありますけど」
「それでは、そこまで、お願い します」
運転手が、もう一度警官を見る。そして言った。
「緊急でしたら、そこの警官に言って、無線で連絡してもらったほうがよろしかと思いますが」
「いいえ。だいじょうぶですから、警察署でお願いします」
「分かりました」
運転手はそう言って、車を発進させる。
フロントミラーに映る警官は、ずっとタクシーを見続けていた。
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