FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の三学期

🍭

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 急に場が和んで、「どんだけ着こんでんだよ」と思わず春樹がつっこむ。
 そして、椅子から落ちたワイシャツ二着を椅子に戻したのち、ハイネックで折り襟の白いカーディガンを拾って広げて、体系をカバーしてくれそうななすび型のそれを広げてまじまじと見やってから、椅子に積むように置き直して続ける。
「ボアとワイシャツ二着だけかと思ってたぞ。ボアにマフラー二枚に厚手のカーディガンにアウターのワイシャツ二着。今インナーのワイシャツ一枚のふりして、その下にもなにか着てんだろ」
「わるいか」奈緒が開き直る。「ここが暑いのが悪い」と警察署のせいにした。だが、後悔の念も見せる。
「下に、お母さんからもらったベロアのシャツ着てる。もう暑くてどうしようもない」
 そう言ってワイシャツの中に手を入れると、ベロアシャツのおなかのボタンをいくつか外した。ひたいを見ると汗がにじんでいて、眉間の横をBB弾くらいの汗粒が一つ流れ落ちる。
 細身警官がその様子を見て、にこやかな笑顔を作り出した。
「本当にやっていないのなら、彼女はそれをちゃんと説明してくれる。そう信じようよ。なにも悪気があって、盗難車を持っていたんじゃないんだろうし、ちゃんと事情を説明してくれれば、こちらだって納得できるんだから。それにしても彼女は本当にいい子なんだろうね、こんなにお友達がやって来てくれるんだから」
 声のボリュームを上げるて続える。
「あの子はあの子で友達想いなんだろうなぁ。預かっただけだって言うばかりで、誰から預かったか言わないんだもの。その子を庇ってのことなんだろうけど、そのためにここにいるみんなを傷つけてしまうなんて、どうなんだろう。私はね、正直に言ってしまうことがいいんじゃないかなって思うよ。みんなのためにもその子のためにも」
 しみじみと言い終わって、高校生たちをちらりと見やる。四人は、今にも泣きだしそうな瞳をしていた。
 短くも長く感じられる沈黙のあと、小太り警官が押さえ気味で声を発する。
「証拠の原付はある。盗難届が出されていることも確認している。そんな原付をあいつが所持していたことは明白だから、今は釈放できない。盗ったか盗らなかったかは、これから調べる。有罪になるにしても無罪放免になるにしても、現段階では判断できないんだよ。それでも違うというんであれば、なにか証拠を提示しなさい」
 誰も証拠を示せなかった。四人は細身警官に優しく諭されて、おずおずと警察署をあとにした。
 ちなみに奈緒は、外に出た途端「寒い寒い、見て、さぶいぼが立った」と騒ぎ出して、務と春樹が手分けして持っていた服とマフラーを警察署の前で着なおすはめになった。しかも着るのにてまどって、杏奈にも手伝ってもらってようやくもとの状態に戻った。









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