FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の三学期

🍭

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 朧月夜に照らされても全く見えない足元に目を落としながら、杏奈が心配そうに後ろに声をかける。
「気を付けて、石畳が敷いてあるみたいだけど、間隔があるし高さがある。躓かないようにね」
「うん」奈緒が頷く。
「これ等間隔か?」と春樹。
「分からない。どれだけ視覚に頼っているか身に染みるね。等間隔だと思うけど、足を出すたびに躓く」
 答えた務の後ろで、杏奈がキレた。
「ああん、もう。二月なのになんでこんなに? この雑草なんで処理しないのよ。腰ほどもあるし、それが内側に倒れてなんにも見えない」
 そう叫んで、草のアーチを蹴っ飛ばす。
「なくても暗くて見えないだろうね」と務がなだめた。
「まあそうだけど……」杏奈は怯える声でそう言いながら、両手で務のフードを握って、ふらふらよたよた進む。
 ようやく通路を抜けた。そこはコンクリートで固められた地面で、古ぼけた自転車が一台置かれる空間だった。
 四人が同時に、それぞれの安否を確認する。
 そんな中で、一人けろりとした様子の奈緒が、何事も無く安堵し合うみんなを見て、
「杏奈ちゃんのセーター真っ黒だから、首しか見えない。生首みたい」と笑う。
「うるさいわね。まさかこんな冒険する羽目になるなんて思わなかった。今日一日家でゆっくり過ごす予定だったのを来てあげたっていうのに、やんなっちゃう」
 杏奈は、ツイードニット生地のスカートに付いた枯草をはたき落としながらぼやく。
 奈緒が続ける。
「務君も、ボトムスがアイボリーじゃなかったら生首」
「そう?」
 務が、自分の履くチノパンを見下ろす。
 誰一人お互いの顔は見えていなかったが、コンクリートという明らかな人造物の上に足を据えることが出来て、大いに気が緩んでいる様子だった。
 会話が途切れると、示し合わせたようにすぐそばに屹立する大きな影に顔を向ける。意を決した様子でみんなが見上げると、眼前には、宵闇の中蜃気楼のように佇む家作があった。


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