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一年生の三学期
🏍️
しおりを挟むいがぐりを下に傾けて悲しそうに続ける。
「無実は証明されたけど、パピオンの共犯って線はまだ残っているってデブ野郎が言ってたから、今後どうなるか分からない」
「それでも出れたんだ」
「おばあちゃんが説得してくれた。無実の女子高生を監禁することが、少年課の務めなんですか? って」
「警察をやり込めるなんてすごいおばあちゃんだな」春樹が感心する。
「ほんと。もう七十超えてるはずだけど」
杏奈が訝しげに奈緒を見やる。
「ピタパンって、もしかしてパピオンのこと? 全然違うじゃない」
「ピタパンだっけ? なんか違う気がするけど」春樹が首を傾げる。
「ピタパンであってる」と奈緒。「でもピタパンってなんですか? わたしパピオンのこと言ったと思うよ」
杏奈が答える。
「そうなんだろうけど、ピタパンって言わなかったっけ?」
「そうかもしれない。そうかな? そうでした。ごめんね、杏奈ちゃん」
プチ懺悔を受けた彼女が南に向き直る。
「あんな子たちと付き合うのやめたほうがいいよ。スクーターだって預かっただけみたいだけれど、あの子たちの風貌じゃ、真っ先に盗んだものだって疑わないと」
「会ったんだ。二人って誰?」
「誰って、ソバージュの子と黒髪の子。それでパピオンてなに?」
「うん。中学の時つるんでた仲間と作った族」
「族って、暴走族?」杏奈がいやそうな顔をする。
「うん」それに気がついた様子で、南が視線を俯かせた。
「最近増えてるよな」春樹が口を開く。「大風邪が収束傾向に入ってから、急に湧いて出てきた感じ。家にいても、遠くでマフラーふかす音が大量に聞こえる時がある」
南がしみじみと言った。
「わるい子じゃないんだよ、あの子たち。杏奈の言う通り、わたしも警戒した。前に見た原チャリと違ったからおかしいなとは思ったんだけど、キーついていたし、理沙のうちバイク屋でレンタルもしてるから、なに乗っててもおかしくないのかなって思って、疑わずに預かっちゃった。でも気がつけばよかった。今思うと、あの原チャリ、ピアノ作ってる会社のKAWAHAのなんだよね。あの子の店、Honbatake[運送用機器会社]専門なのにさ。久々に会ったもんだから、わたし油断してたんだね、きっと」
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