FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の三学期

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 放課後、何人かの先生も手伝って、回答の解読が試みられた。三階にある進路指導室に呼ばれた奈緒は、目の前に置かれた解答用紙を睨みつけながら、バグってフリーズしているように押し黙っている。それを囲った先生たちが、静かに見守っていた。この子を中心に据えて、何か言うたびに注目し、一問一問――どころか一文字一文字口頭で確認していく。
 眼鏡をかけた地歴公民の鈴木先生が、ネオソバージュなのか癖なのか分からない硬そうな肩上ボブを耳にかけて、奈緒に訊いた。
「この、『とうてむたむ』ってどういう意味?」
「これは……と う て む た む」
「……。問題見返して。思い出せる?」
「はい。イデオロ ギー」
「この、『りえん』は?」
「りえん とは なんですか?」
「うん、こっちが訊いているの」
 何問答かあって、ようやく奈緒が正解を答えた。
「りねんと書きました」
「これは、大体予想がつくけど」と鈴木先生が別の回答を指さす。「これはなにが書いてあるの?」
 見ると“ゐヾξそる”と描いてある。
「日本語」
「うん、違うよね。日本語に訳して」
「うーん。“フロルガス”がうわーんてでて、こんなになっちゃった」奈緒が手で円を描く
「それはなに?」
「フロルガス」
「フロンガス。それがなにに影響を与えるの?」
「これ」奈緒が答えを指さす。
「読んでみて」
「分かりま せん」
「じゃあ、×ね。答えはオゾン層」
「そうだ、おぞんそうって書きましたっ」奈緒は意気揚々と答える。
「でももう遅いわね。次。マ。チ。土。丰。なにこれ」
「これとこれと、これとこれ」
 奈緒が、ア、イ、ウ、エ、オから、ア、イ、エ、エ、を指し示す。
「よくできました。けれど全部不正解」
「がくーっ」奈緒が頭を落とす。
 数問進んで、次は“るそ∂∈″デ┗亠冫まお”。何度も問題の音読を繰り返していた奈緒が、十分経過してからようやく答えた。
「ろ う ど う きじゅんほー ですかな?」
「はい、正解」
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