292 / 838
一年生の三学期
🍰
しおりを挟む
そこでこの子は、ショーケースの奥にいた女性店員さんに問いかけた。
「すいませんっ。わ た し は 身体 障 がい 者で、ごめん な さいっ。
みぎて みぎあし だーめーでーす。ご め ん な さ い。
“バスケボール”の応 援に、来 ま し た。とても おいしそうなので、お願いしたくて 来ました。教えてください。
わたしは、右 手が使えないので、っっ……ああもうだめ、言葉が出ない。これは、お まん じゅう みたいに、手で食べ られ ますかっ?」
赤ちゃん言葉ふうにそう言って、雪と戯れるキツネが丸くなったような見た目の特濃ニューヨークチーズケーキを指さす。
「申し訳ございません。こちらはお手で持って召し上がることはできません」
「そうですか」
奈緒がしょんぼりした。それでも間を置かず再び選び始めたちょうどその時、杏奈がお目当ての一つを決めて注文をする。そして店員に伝えた。
「お会計は別々なんですけど、箱は一つにまとめてください」
「かしこまりました」
丁寧に答えた店員が、彼女にレシートを渡す。
「当店は番号で管理しておりますので、こちらのレシートをお持ちになり、もうしばらくお待ちください」
店員が向けた左手の先を見ると、店の奥側には順番を待っている様子の中年の男女が三人いる。
続いて心愛が注文。彼女も同様にレシートを受け取って、邪魔にならないように帯ロープの間際に寄った。
視線をショーケースに戻した奈緒が、一緒に選んでいた南に言った。
「そうだ、春樹君に差し入れあげようか」
「一人だけはまずいよ」
「そうか。じゃあ、全員に買っていく?」
「いっこ七百円超えを? しかも試合中にケーキだなんて……」
「そうか、やめよう。あ、“シュークリム”あるよ。これなら手で食べ られる」
「でも四百三十円。レギュラーだけでも、たぶん十人くらいいるから、四千三百円」
「やだ、やめる」絶叫気味に答えて「でもクッキーあるね、これにしよう」。
奈緒はそう言って、焼き菓子のエリアにそそくさと行くと、筒状のプラスチック容器に入ったディアマンヴァニーユを手にして、ショーケースの前に戻る。
「すいませんっ。わ た し は 身体 障 がい 者で、ごめん な さいっ。
みぎて みぎあし だーめーでーす。ご め ん な さ い。
“バスケボール”の応 援に、来 ま し た。とても おいしそうなので、お願いしたくて 来ました。教えてください。
わたしは、右 手が使えないので、っっ……ああもうだめ、言葉が出ない。これは、お まん じゅう みたいに、手で食べ られ ますかっ?」
赤ちゃん言葉ふうにそう言って、雪と戯れるキツネが丸くなったような見た目の特濃ニューヨークチーズケーキを指さす。
「申し訳ございません。こちらはお手で持って召し上がることはできません」
「そうですか」
奈緒がしょんぼりした。それでも間を置かず再び選び始めたちょうどその時、杏奈がお目当ての一つを決めて注文をする。そして店員に伝えた。
「お会計は別々なんですけど、箱は一つにまとめてください」
「かしこまりました」
丁寧に答えた店員が、彼女にレシートを渡す。
「当店は番号で管理しておりますので、こちらのレシートをお持ちになり、もうしばらくお待ちください」
店員が向けた左手の先を見ると、店の奥側には順番を待っている様子の中年の男女が三人いる。
続いて心愛が注文。彼女も同様にレシートを受け取って、邪魔にならないように帯ロープの間際に寄った。
視線をショーケースに戻した奈緒が、一緒に選んでいた南に言った。
「そうだ、春樹君に差し入れあげようか」
「一人だけはまずいよ」
「そうか。じゃあ、全員に買っていく?」
「いっこ七百円超えを? しかも試合中にケーキだなんて……」
「そうか、やめよう。あ、“シュークリム”あるよ。これなら手で食べ られる」
「でも四百三十円。レギュラーだけでも、たぶん十人くらいいるから、四千三百円」
「やだ、やめる」絶叫気味に答えて「でもクッキーあるね、これにしよう」。
奈緒はそう言って、焼き菓子のエリアにそそくさと行くと、筒状のプラスチック容器に入ったディアマンヴァニーユを手にして、ショーケースの前に戻る。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる