FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の三学期

🍰

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 そこでこの子は、ショーケースの奥にいた女性店員さんに問いかけた。
「すいませんっ。わ た し は 身体 障 がい 者で、ごめん な さいっ。
 みぎて みぎあし だーめーでーす。ご め ん な さ い。
 “バスケボール”の応 援に、来 ま し た。とても おいしそうなので、お願いしたくて 来ました。教えてください。 
 わたしは、右 手が使えないので、っっ……ああもうだめ、言葉が出ない。これは、お まん じゅう みたいに、手で食べ られ ますかっ?」
赤ちゃん言葉ふうにそう言って、雪と戯れるキツネが丸くなったような見た目の特濃ニューヨークチーズケーキを指さす。
「申し訳ございません。こちらはお手で持って召し上がることはできません」
「そうですか」
 奈緒がしょんぼりした。それでも間を置かず再び選び始めたちょうどその時、杏奈がお目当ての一つを決めて注文をする。そして店員に伝えた。
「お会計は別々なんですけど、箱は一つにまとめてください」
「かしこまりました」
 丁寧に答えた店員が、彼女にレシートを渡す。
「当店は番号で管理しておりますので、こちらのレシートをお持ちになり、もうしばらくお待ちください」
 店員が向けた左手の先を見ると、店の奥側には順番を待っている様子の中年の男女が三人いる。
 続いて心愛が注文。彼女も同様にレシートを受け取って、邪魔にならないように帯ロープの間際に寄った。
 視線をショーケースに戻した奈緒が、一緒に選んでいた南に言った。
「そうだ、春樹君に差し入れあげようか」
「一人だけはまずいよ」
「そうか。じゃあ、全員に買っていく?」
「いっこ七百円超えを? しかも試合中にケーキだなんて……」
「そうか、やめよう。あ、“シュークリム”あるよ。これなら手で食べ られる」
「でも四百三十円。レギュラーだけでも、たぶん十人くらいいるから、四千三百円」
「やだ、やめる」絶叫気味に答えて「でもクッキーあるね、これにしよう」。
 奈緒はそう言って、焼き菓子のエリアにそそくさと行くと、筒状のプラスチック容器に入ったディアマンヴァニーユを手にして、ショーケースの前に戻る。





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