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二年生の一学期
第百一話 開いた距離
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体育館のステージ上で体操クラブの活動が始まると奈緒は、列から離れて女の子すわりで左手をついて体を支えながらアリーナを見ていた。
そこに彩音がやって来て、足をそろえてしゃがみ込む。
「成瀬先輩、なに見てるんですか?」
「んー、南ちゃん」
「あのボーイッシュな髪型の人? 初めて見ました。怖いですよね、こんなに距離あっても怖くて見ていられないです」
そう言うと、逃げるように列へと戻る。
すると今度は、バスケットボールを弾ませながら、春樹がやって来た。
「おいーす、奈緒。どうした、元気ないじゃん」
「うん、南ちゃんが、卓球にピンポンピンポンしてる」
「楽しそうだな」
「楽しくない。だって一年の時はおしゃべりしに来てくれたのに。二年になったら来てくれなくなった」
「もう卒業なんじゃね?」
「卒業ってなに? ともだちに卒業なんてないもん」
「ムキになるなよ。あいつにはあいつの居場所があるんだろ」
「それはわたしのところよ。南ちゃん言ってたもん、クラスが違っても一緒だよって、たぶんね」
「たぶん……て」春樹が仕方なさそうに笑う。「それじゃあ、自分から行ってみたらいいだろ。お前ならぶしつけに乱入できるだろ」
奈緒は右頬を膨らませて、すごい眼力で睨みつける。
「俺に行ってこいってか? 分かりましたよ、行ってきますよ、あとで」
「うん。わたしじゃいけないから、ありがとう」
「どうして」
「だって、あの子とこの子が いや がる。((南ちゃんは不良だからって))」
春樹が二階の観覧席に視線を上げる。
「流川瑠衣と落合陽菜子? ちゃんと友達できたじゃん。たまに様子見に行くと、仲良さそうにしてるもんな、お前ら」
「南ちゃんは違う」少しムスッとした様子で答える。
「気を使ってくれているんじゃないか? 新しい友達ができたんなら、それでいいじゃん。べつに南と友達じゃなくなるわけじゃないんだし、クラス変わる時は日常茶飯事だぜ、どこに行っても」
「分かってる。でもそうならないようにしようねって 言ったの、わたし たち!」
「じゃあ、流川瑠衣と落合陽菜子、捨てんの?」
「それは出来ないけど……」
「だろ、それじゃあ仕方ないんじゃねーの。俺だってつっちーや杏奈と絡む機会少ないぜ。それに、同じバスケ部の連中でも、部活以外でつるまないやついるぞ。連邦軍だけのコミュ、バスケのコミュ、ゲームのコミュ、卓球のコミュ、その時々でくっついたり離れたり、そういうの普通だって。南が奈緒みたいにいじめられるタイプなら別だけど、あいつは違うんだから、そんなに心配する必要ないって」
そこに彩音がやって来て、足をそろえてしゃがみ込む。
「成瀬先輩、なに見てるんですか?」
「んー、南ちゃん」
「あのボーイッシュな髪型の人? 初めて見ました。怖いですよね、こんなに距離あっても怖くて見ていられないです」
そう言うと、逃げるように列へと戻る。
すると今度は、バスケットボールを弾ませながら、春樹がやって来た。
「おいーす、奈緒。どうした、元気ないじゃん」
「うん、南ちゃんが、卓球にピンポンピンポンしてる」
「楽しそうだな」
「楽しくない。だって一年の時はおしゃべりしに来てくれたのに。二年になったら来てくれなくなった」
「もう卒業なんじゃね?」
「卒業ってなに? ともだちに卒業なんてないもん」
「ムキになるなよ。あいつにはあいつの居場所があるんだろ」
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「たぶん……て」春樹が仕方なさそうに笑う。「それじゃあ、自分から行ってみたらいいだろ。お前ならぶしつけに乱入できるだろ」
奈緒は右頬を膨らませて、すごい眼力で睨みつける。
「俺に行ってこいってか? 分かりましたよ、行ってきますよ、あとで」
「うん。わたしじゃいけないから、ありがとう」
「どうして」
「だって、あの子とこの子が いや がる。((南ちゃんは不良だからって))」
春樹が二階の観覧席に視線を上げる。
「流川瑠衣と落合陽菜子? ちゃんと友達できたじゃん。たまに様子見に行くと、仲良さそうにしてるもんな、お前ら」
「南ちゃんは違う」少しムスッとした様子で答える。
「気を使ってくれているんじゃないか? 新しい友達ができたんなら、それでいいじゃん。べつに南と友達じゃなくなるわけじゃないんだし、クラス変わる時は日常茶飯事だぜ、どこに行っても」
「分かってる。でもそうならないようにしようねって 言ったの、わたし たち!」
「じゃあ、流川瑠衣と落合陽菜子、捨てんの?」
「それは出来ないけど……」
「だろ、それじゃあ仕方ないんじゃねーの。俺だってつっちーや杏奈と絡む機会少ないぜ。それに、同じバスケ部の連中でも、部活以外でつるまないやついるぞ。連邦軍だけのコミュ、バスケのコミュ、ゲームのコミュ、卓球のコミュ、その時々でくっついたり離れたり、そういうの普通だって。南が奈緒みたいにいじめられるタイプなら別だけど、あいつは違うんだから、そんなに心配する必要ないって」
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