323 / 838
二年生の一学期
🖼️
しおりを挟む
諦めた様子の彼女がため息をついた。
「誰も真相は知らないんだろうね。実は全然そんなことないのかもしれないしぃ」
「えー? うそだぁ。それなのにみんなは、南ちゃんのこと ふりょうふりょうって言うの? ひどくない?」
「ひどいよねぇ。でも、そんなものなんじゃないかなぁ? そのほうが安心できるんだよ。あの子は不良だって言われれば、相対的にわたしはまじめなんだって分類されるわけだし、言うことを聞けば友達との結束は固まるでしょう? 真実がどうであっても小沢さんは不良ってみんなが決めつけてしまえば、それが事実になるの」
「でも確かめもしないで 言うの?」
「確かめもしないから言うんだよぉ。確かめるのは大変だし、教えてくれた人にも悪いでしょ。確かめるってことは、言ったあなたを疑いますっていう意思表示になるから。そしたらそこの関係がギクシャクしちゃうじゃなぁい」
「じゃあみんな、本当はそんなうわさ信じてないんだ」
奈緒の声には希望が満ちていたが、峠を登り切った時のさわやかな表情を見せた少女を突き落すように、瑠衣が否定する。
「ううん、信じてる。人間って共感するように出来ているから、本当かどうかは関係なしに、そう思わせることが出来るし、そう思えるようにできてるんだよ。例えば、わたしが刺されたって言っておなか押さえたら、とても怖く思うでしょ。蚊に刺されたってことを知らないままに警戒態勢にも入るよ。わたしが恋人にひどいことされたって泣いたら、同情してくれるでしょ、実はこっちがひどいことしていたとしても。ホラー映画だってお化け屋敷だって、それがフィクションだって知っていても恐怖を感じるし、感動映画を見れば感動できる。それどころか、そんな偽物の恐怖や感動を自分から欲しがる時もあるじゃない。だから今は、小沢さんは不良じゃなきゃいけないし、忌み嫌われる存在じゃなきゃ困るの。小沢さんが不良だっていうフィクションをみんなで紡ぎあげて、モブを演じているんだよ。わたしは無能で無害でみんなと一緒の安全な存在ですって」
奈緒は、思考停止に陥らないように必死に脳をフル稼働させてるかの如く固まったまま、一点を見つめ続けて聞いていた。
「誰も真相は知らないんだろうね。実は全然そんなことないのかもしれないしぃ」
「えー? うそだぁ。それなのにみんなは、南ちゃんのこと ふりょうふりょうって言うの? ひどくない?」
「ひどいよねぇ。でも、そんなものなんじゃないかなぁ? そのほうが安心できるんだよ。あの子は不良だって言われれば、相対的にわたしはまじめなんだって分類されるわけだし、言うことを聞けば友達との結束は固まるでしょう? 真実がどうであっても小沢さんは不良ってみんなが決めつけてしまえば、それが事実になるの」
「でも確かめもしないで 言うの?」
「確かめもしないから言うんだよぉ。確かめるのは大変だし、教えてくれた人にも悪いでしょ。確かめるってことは、言ったあなたを疑いますっていう意思表示になるから。そしたらそこの関係がギクシャクしちゃうじゃなぁい」
「じゃあみんな、本当はそんなうわさ信じてないんだ」
奈緒の声には希望が満ちていたが、峠を登り切った時のさわやかな表情を見せた少女を突き落すように、瑠衣が否定する。
「ううん、信じてる。人間って共感するように出来ているから、本当かどうかは関係なしに、そう思わせることが出来るし、そう思えるようにできてるんだよ。例えば、わたしが刺されたって言っておなか押さえたら、とても怖く思うでしょ。蚊に刺されたってことを知らないままに警戒態勢にも入るよ。わたしが恋人にひどいことされたって泣いたら、同情してくれるでしょ、実はこっちがひどいことしていたとしても。ホラー映画だってお化け屋敷だって、それがフィクションだって知っていても恐怖を感じるし、感動映画を見れば感動できる。それどころか、そんな偽物の恐怖や感動を自分から欲しがる時もあるじゃない。だから今は、小沢さんは不良じゃなきゃいけないし、忌み嫌われる存在じゃなきゃ困るの。小沢さんが不良だっていうフィクションをみんなで紡ぎあげて、モブを演じているんだよ。わたしは無能で無害でみんなと一緒の安全な存在ですって」
奈緒は、思考停止に陥らないように必死に脳をフル稼働させてるかの如く固まったまま、一点を見つめ続けて聞いていた。
0
あなたにおすすめの小説
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される
けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」
「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」
「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」
県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。
頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。
その名も『古羊姉妹』
本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。
――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。
そして『その日』は突然やってきた。
ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。
助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。
何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった!
――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。
そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ!
意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。
士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。
こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。
が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。
彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。
※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。
イラスト担当:さんさん
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
