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二年生の一学期
🐿️
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階段を上がって千束八幡神社にお参りを済ませると、階段を下まで下りてから奈緒がはしゃぐ。
「おもしろ橋から行く」
そう言って、赤い三連太鼓橋へと進んで行って真ん中の橋の中央で立ち止まった。そこから大きな池を見渡して、対岸の桜を眺める。
佇立する瑠衣が、なだらかな口調で訊いた。
「二度目でしょ? なんでそんなに楽しそうなの? 雨降ってるのに」
「始めて来た時は、一周 回らなかったから。瑠衣ちゃんと会ったベンチで 絵を描いて帰ったから、こっちのほうに 来てないの」
公道が見えてくると奈緒が、喜びを吸い込んで口いっぱいにため込んだように唇をつぐんで、ボート乗り場のほうを見る。
「駅前にクレープさんの車があったから、まだやっているかなぁ。もう一度食べて帰ろう」そして嬉しそうにまどろんだ笑顔で、「バナナの食べたから、いちごにしよう」と頷く。そして、横断歩道を渡って鉄紺色のキッチンカーに歩み寄ると、すぐさま店員の女性に声をかける。
「すいませーん。いちごのクレープくださぁい」
「はい、どれにします?」
首を傾げてメニューを見た奈緒が即答した。
「??? 普通の」そしてしどろもどろと一生懸命な口ぶりで「あさと お な じ で、い ちご の や つ。 ください」と伝えた。
続けて瑠衣が注文する。
「じゃあわたしは、ピスタチオとベリーのクリーム」
作り始めるのを見届けた瑠衣が、上半身を倒して立て看板を見やる。
「よく見かけるけど、食べたことなかった。米粉の生地だって。ふんわりして柔らかそう」
二人は、駅の改札の前で並んで道路の向こうに見える池を眺めながら、クレープを食べ始める。
しばらく空を見上げていた奈緒が、おもむろに口を開いた。
「今日は残念だったね、雨降っちゃって。まだお昼くらいだと思うけど……」
「二時前だよ」
奈緒が、きょろきょろと辺りを見渡して続ける。
「もしお天気よかったら、“あし あらい”を 案内して“もろって”、一緒にランチして、おやつにケーキ食べながら、コーヒー飲みたかったね」
「せんぞく」瑠衣が、奈緒の言葉を遮る。
「あ、間違えた。“あしおろい”。なんていった? わたし」
「あしあらい。そして今は、あしおろい」
「あし…あし…あーん、だめぇ。なんだっけ?」
「せんぞく」
「ちがうよ、うちが千束[せんぞく]だよ、北千束。漢字で“あし あらい”。なんて読むか分からないよ」
「あしあらいってかいて、せんぞくね」
「足洗なんて書くから、分からないよ」
「おもしろ橋から行く」
そう言って、赤い三連太鼓橋へと進んで行って真ん中の橋の中央で立ち止まった。そこから大きな池を見渡して、対岸の桜を眺める。
佇立する瑠衣が、なだらかな口調で訊いた。
「二度目でしょ? なんでそんなに楽しそうなの? 雨降ってるのに」
「始めて来た時は、一周 回らなかったから。瑠衣ちゃんと会ったベンチで 絵を描いて帰ったから、こっちのほうに 来てないの」
公道が見えてくると奈緒が、喜びを吸い込んで口いっぱいにため込んだように唇をつぐんで、ボート乗り場のほうを見る。
「駅前にクレープさんの車があったから、まだやっているかなぁ。もう一度食べて帰ろう」そして嬉しそうにまどろんだ笑顔で、「バナナの食べたから、いちごにしよう」と頷く。そして、横断歩道を渡って鉄紺色のキッチンカーに歩み寄ると、すぐさま店員の女性に声をかける。
「すいませーん。いちごのクレープくださぁい」
「はい、どれにします?」
首を傾げてメニューを見た奈緒が即答した。
「??? 普通の」そしてしどろもどろと一生懸命な口ぶりで「あさと お な じ で、い ちご の や つ。 ください」と伝えた。
続けて瑠衣が注文する。
「じゃあわたしは、ピスタチオとベリーのクリーム」
作り始めるのを見届けた瑠衣が、上半身を倒して立て看板を見やる。
「よく見かけるけど、食べたことなかった。米粉の生地だって。ふんわりして柔らかそう」
二人は、駅の改札の前で並んで道路の向こうに見える池を眺めながら、クレープを食べ始める。
しばらく空を見上げていた奈緒が、おもむろに口を開いた。
「今日は残念だったね、雨降っちゃって。まだお昼くらいだと思うけど……」
「二時前だよ」
奈緒が、きょろきょろと辺りを見渡して続ける。
「もしお天気よかったら、“あし あらい”を 案内して“もろって”、一緒にランチして、おやつにケーキ食べながら、コーヒー飲みたかったね」
「せんぞく」瑠衣が、奈緒の言葉を遮る。
「あ、間違えた。“あしおろい”。なんていった? わたし」
「あしあらい。そして今は、あしおろい」
「あし…あし…あーん、だめぇ。なんだっけ?」
「せんぞく」
「ちがうよ、うちが千束[せんぞく]だよ、北千束。漢字で“あし あらい”。なんて読むか分からないよ」
「あしあらいってかいて、せんぞくね」
「足洗なんて書くから、分からないよ」
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