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二年生の一学期
第百十四話 詰め直す過ぎた日々
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南が、再び銅板の飾り絵に向き直って、神経細胞の集まりみたいな背景をなぞって言った。
「画面がはちのす[牛の内臓]みたいだから、車の絵が強調されていて迫力ある。壁紙が白いし、周辺になにも飾ってないから、すごく目立つね。玄関に入って真っ先に目がひきつけられた」
後ろを向いた時に、扇型の絵に目を留める。
「あれ? カーネーションの絵? 『いつもありがとう またお会いしましょうね』」
すると奈緒が「えっ? えっ?」と驚愕した。「あらぁ、なんだったかしらねぇもう忘れちゃった。でもなにか 絵手紙で描いた。うーん。花かねぇ、実かねぇ、分からないけど、なんとかさんがやったから、わたしもやった。だから知らない。でもみんなカーネーションて言うから、違うって言った。そしたら先生に、母の日はまだ先ですよって言われて、うちに帰ってお母さんに見せたら、カーネーションだね、でも 母の日は 来月ですよって言われた。見てこれ、ほら、カーネーションじゃないでしょ、枝でしょ」
「ああ確かに。言われてみれば、赤い実が房になっているようにも見えるね。芽吹いたばかりの新芽があって」
そう言って、銅板の飾り絵に視線を戻す。
「ちょっと会わないうちに、どんどん成長しているんだね。絵手紙だけかと思ったら、銅板にこんな絵までえがいちゃうんだから」
感慨深そうに二つの絵を見やった。
奈緒は得意げになって、シューズクロークの上に飾っておいた日本人形の絵手紙も見せる。そこには、ジップのビニール袋に入ったおかっぱボブでレモン色の振袖を来た女の子の絵が二枚あって、左の一枚には文字が書いてあり、一緒に青い生地に楓やぼたんの絵が描かれた浴衣風の両手を広げた日本紙人形が入っていた。
絵の紙人形を端端まで真剣に見つめる南は、まばたき一つしない。
「またお会いしましょうね……か。なにか懐かしさを感じさせるね。別れは悲しい出来事じゃないっていうか、再会の希望に満ちているっていうか。そういう想いがあって、このしおりみたいな人形を描いたんだね」
それから、絵はがきと並んで置いてあった目鼻と口が無い日本紙人形をのぞき込む。
両方とも縦に長い頭をしていてセミロング。そして頭頂部が平らなのが特徴的。左の紙人形は、赤い襦袢の上に白い生地に赤と白の梅の花がえがかれた晴れ着を着ていて、右の紙人形は、髪に赤いV字の髪飾りをつけ、桃色の襦袢に白い桜の花が舞い散る黄緑色の晴れ着を着て、薄い青い帯を締めている。
「画面がはちのす[牛の内臓]みたいだから、車の絵が強調されていて迫力ある。壁紙が白いし、周辺になにも飾ってないから、すごく目立つね。玄関に入って真っ先に目がひきつけられた」
後ろを向いた時に、扇型の絵に目を留める。
「あれ? カーネーションの絵? 『いつもありがとう またお会いしましょうね』」
すると奈緒が「えっ? えっ?」と驚愕した。「あらぁ、なんだったかしらねぇもう忘れちゃった。でもなにか 絵手紙で描いた。うーん。花かねぇ、実かねぇ、分からないけど、なんとかさんがやったから、わたしもやった。だから知らない。でもみんなカーネーションて言うから、違うって言った。そしたら先生に、母の日はまだ先ですよって言われて、うちに帰ってお母さんに見せたら、カーネーションだね、でも 母の日は 来月ですよって言われた。見てこれ、ほら、カーネーションじゃないでしょ、枝でしょ」
「ああ確かに。言われてみれば、赤い実が房になっているようにも見えるね。芽吹いたばかりの新芽があって」
そう言って、銅板の飾り絵に視線を戻す。
「ちょっと会わないうちに、どんどん成長しているんだね。絵手紙だけかと思ったら、銅板にこんな絵までえがいちゃうんだから」
感慨深そうに二つの絵を見やった。
奈緒は得意げになって、シューズクロークの上に飾っておいた日本人形の絵手紙も見せる。そこには、ジップのビニール袋に入ったおかっぱボブでレモン色の振袖を来た女の子の絵が二枚あって、左の一枚には文字が書いてあり、一緒に青い生地に楓やぼたんの絵が描かれた浴衣風の両手を広げた日本紙人形が入っていた。
絵の紙人形を端端まで真剣に見つめる南は、まばたき一つしない。
「またお会いしましょうね……か。なにか懐かしさを感じさせるね。別れは悲しい出来事じゃないっていうか、再会の希望に満ちているっていうか。そういう想いがあって、このしおりみたいな人形を描いたんだね」
それから、絵はがきと並んで置いてあった目鼻と口が無い日本紙人形をのぞき込む。
両方とも縦に長い頭をしていてセミロング。そして頭頂部が平らなのが特徴的。左の紙人形は、赤い襦袢の上に白い生地に赤と白の梅の花がえがかれた晴れ着を着ていて、右の紙人形は、髪に赤いV字の髪飾りをつけ、桃色の襦袢に白い桜の花が舞い散る黄緑色の晴れ着を着て、薄い青い帯を締めている。
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