FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🎪

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 催しの中央まで来た奈緒は、興奮した様子で天真爛漫に舞う桜の花びらのようにくるくる回って、芝生を囲うように張られたイベントテントやテーブルを見渡しながら叫ぶ。
「“らっぷろうる”食べたぁい。あと向こうのコーヒー。うふふふふ」
ちょっとおかしな妖精みたいだ。
 チラシを手にした春樹がみんなに言った。
「朝市みたいだな。なになに? 自家栽培の地元野菜、マフィンやパウンドケーキ、ラップサンド、マイクロブルワリーのクラフトビール、オーガニックなハーブティー、自家製パン、味噌や醤油などの自然派食品、お茶碗など焼き物を扱うお店、あと花屋と子供向けのワークショップだって。けっこう色々な店が集ってんだな」
 楽しそうに出店を見渡す奈緒に、申し訳なさそうに南が教えた。
「コーヒー、ないみたいだよ」
「ええ、違うわよ、あれよ、あれ」この子が怒りだす。
「あれ、ハーブティーのお店だね」
 衝撃を受けた様子で固まる奈緒の横に腕を伸ばした南が、指をさして声を弾ませる。
「あ、ナノブルワリーのビールだって。お父さんに買っていってあげようかな」
「やめとけよ、アル中が悪化するだけだぜ」と春樹が止める。
「それもそうだね。でも、家のお金もおつまみも隠してきたんだよね。冷蔵庫に用意しておいた冷えたおかずだけで足りるかなぁ? ご飯は自分で炊くだろうけど、今になってちょっと後悔してる。なんか可哀想に思えてきた」
 奈緒が萌芽のように笑った。
「じゃあ、こうすれば? 一口あげて、あと全部南ちゃんが飲んじゃう」
「余計問題だろ、未成年なのに」春樹がつっこむ。
「そうか」
 杏奈が、呆れた様子で話しに割って入ってきて、チクリと針をさす。
「そもそもはたち未満は飲めないだけじゃなくて、買ってもいけないのよ」
 奈緒と南は互いを一驚し、ベルジャンエールとアップルビールの瓶が詰まった冷凍庫ショーケースを悲しげに見やってから、その場を離れた。
「コーヒー屋さんないのねぇ」芝生を歩きながら、奈緒が言う。
「あのハーブティーのお店にすれば?」
杏奈が、駅側にあったテントに振り返って提案するが、この子は「うん」と頷きながらも振り向きもせず、みんながついてくることになんの疑いも持たない様子で、公道側にあったキッチンカーに歩み寄った。
「まずはこれだよね、ラップサンド」





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