FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🍖

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 南がなんの気もない様子で口を開く。
「今日買わなくてもいいじゃん」
「えー、今日だけかもしれないでしょ」
 南が店員に訊くと、ゴールデンウィーク中出店していると返答してきた。
「ほら、帰りに買いましょ」
「やだー、じびえー、じびえー食べるー」
 駄々っ子のように泣き叫ぶ奈緒に、南が訊いた。
「なんだか分かって言ってるの?」
「知らない」
「鹿肉です」と店員。
 奈緒はびっくりして、一瞬にして黙り込む。
「食いしん坊の奈緒でも、食えないものがあるんだな」春樹が笑った。
「え~? どうする? 食べる?」
でも奈緒、まんざらでもなさそう。
「“なちゅやさいと、きとこと、ばれみこさるすの ジビエノタロス” くださいっ」
 勝手に出した注文だが、彼女は止めてこない。同意を得たものと考えたのか、奈緒は南に微笑みかける。
「いいの?」と訊く杏奈に、南が言った。
「メニューの絵の説明を見ると野菜満載だし、こういう時に食べさせないと偏っちゃうでしょ」
「そっか。放っておくと、偏食まっしぐらの予感しかしないもんね。でも極端な野菜嫌いの成瀬さんには珍しい選択かも」
「うん。でもそういえば、ファミスト[ファミリーストップの略。コンビニの名前]のロールサンドは、サンドウィッチ時代に好んで食べてたもんね。家と学校の間のファミストに寄ろうと思ったら、途中の旗の台か中延駅で一度降りなきゃいけないから、あまり買ってこなかったけど」
 奈緒が、不満に同調してほしそうに頷く。
「他の“コンぼニ”では、あれこれがないから、ねぇ」
困った様子でこっちを見やる二人の店員に南は、「夏野菜ときのこのバルサミコ酢ジビエのタコス一つください」と注文を出し直す。
 肩にななめがけにしたキルト製ハーフオーバルの桃色ポシェットから赤いバラ柄の小銭入れを取り出してお金を払った奈緒は、五分と言われた出来上がりまでの時間の間、調理の工程を待ち遠しそうに背伸びして見やっていた。





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