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二年生の一学期
🌸🌸
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「うんー。不動前でお花見散歩したもん」奈緒が自慢げに笑う。
「そうなの?」
ぶっきらぼうに南が言った。
「奈緒だけね。不動でバスケの試合見た日。わたしと杏奈を放置して一人だけ」
「でもしょうがないよ、わたしも 桜 並木が あるの知ったのは、行ってからだから。来年は 一緒に しましょうね」
奈緒が媚びるように頭を傾けて、南へと笑みを送る。だが彼女はツンとした様子だったので、逃げるように背を向け、とってとってと車道へと進む。
「車来ないからここから渡ろう」
南が慌てて、それを制止する。
「危ないよ、奈緒。ほら、交番もあるんだし、ちゃんと横断歩道に行かなきゃ」
「そうか。逮捕されるかも。急がなきゃ」
「逃走する気かよ」
と、つっこむ春樹の言葉を聞き流した奈緒が、「あらあらあら」と一人で駆けていって、信号が点滅する横断歩道を渡る。そして、右折すると、名残惜しそうに朝市を見やりながら歩く。
しばらくして、ゴチン、と鈍い音がして、少女は「はうっ」と叫んだ。
街灯のついた鉄柱にぶつかって、雛みたいに左手をぱたぱたさせながら、滑り台をすべる格好で後ろに傾く。
「危ない」
務が肩を支えた。
「あ、あり がとう」奈緒は、何が起こったか分からない様子で、きょとんとしている。
「気をつけてよ」南が駆け寄ってきて、安心したように「ふぅ」と息をついて声をかけてくると同時に、おでこを撫でる。
「こっちからこっち、見えないから」
奈緒は、右目の前に手刀を立てて、外側に振う。それから自分でも頭を撫でてしゅんとする。
春樹が鉄柱を見上げて言った。
「こっちの街灯って、歩道に突っ立ってんのな」
杏奈が春樹の視線の先を追随して呟く。
「普通そうじゃない?」
「植え込みの中にある気がする」
「んー、確かに。標識とかは歩道にある気もするけど。なんにしても成瀬さん、気を付けてね」
「はい」頭をさすりながら答える。
それからしばらくの間、奈緒はおとなしくなった。
「そうなの?」
ぶっきらぼうに南が言った。
「奈緒だけね。不動でバスケの試合見た日。わたしと杏奈を放置して一人だけ」
「でもしょうがないよ、わたしも 桜 並木が あるの知ったのは、行ってからだから。来年は 一緒に しましょうね」
奈緒が媚びるように頭を傾けて、南へと笑みを送る。だが彼女はツンとした様子だったので、逃げるように背を向け、とってとってと車道へと進む。
「車来ないからここから渡ろう」
南が慌てて、それを制止する。
「危ないよ、奈緒。ほら、交番もあるんだし、ちゃんと横断歩道に行かなきゃ」
「そうか。逮捕されるかも。急がなきゃ」
「逃走する気かよ」
と、つっこむ春樹の言葉を聞き流した奈緒が、「あらあらあら」と一人で駆けていって、信号が点滅する横断歩道を渡る。そして、右折すると、名残惜しそうに朝市を見やりながら歩く。
しばらくして、ゴチン、と鈍い音がして、少女は「はうっ」と叫んだ。
街灯のついた鉄柱にぶつかって、雛みたいに左手をぱたぱたさせながら、滑り台をすべる格好で後ろに傾く。
「危ない」
務が肩を支えた。
「あ、あり がとう」奈緒は、何が起こったか分からない様子で、きょとんとしている。
「気をつけてよ」南が駆け寄ってきて、安心したように「ふぅ」と息をついて声をかけてくると同時に、おでこを撫でる。
「こっちからこっち、見えないから」
奈緒は、右目の前に手刀を立てて、外側に振う。それから自分でも頭を撫でてしゅんとする。
春樹が鉄柱を見上げて言った。
「こっちの街灯って、歩道に突っ立ってんのな」
杏奈が春樹の視線の先を追随して呟く。
「普通そうじゃない?」
「植え込みの中にある気がする」
「んー、確かに。標識とかは歩道にある気もするけど。なんにしても成瀬さん、気を付けてね」
「はい」頭をさすりながら答える。
それからしばらくの間、奈緒はおとなしくなった。
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