FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🍳

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 南がはにかむ横で、杏奈が口を開いた。
「これ、外で食べたら一人五千円超えるんじゃない?」
「千円――千五百円くらいじゃない?」おばあちゃんが否定する。
「物価の差? 恐ろしいな、東京じゃコスト高すぎて、そんな値段じゃ出せないよね」
 驚く春樹に、おばちゃんが言った。
「まあ、自分のところで作った野菜やら、直売所やらで買ってきたものが多いからね、間を通していない分安くなるし、自宅だから場所代もかからないし、お金をいただくとしたらこんなものじゃないかしら」
 みんなで「いただきます」を済ますと、正座をした春樹が丁寧に箸をとる。そして上品ぶってご飯茶碗を持ち上げると、静々とお膳を食べ始めた。
 それを見て、南がつっこむ。
「スノブっちゃって」
「なんだよそれ」
「さあ」ツンとして答える。
「スノブって、どういう意味だよ」
「なんだろね、分かんない。ただ、普段ホットドックとかサーミ―メイトとか菓子パンとか、無作法に食べ歩いているやつが、こんな時は上流階級みたいに静かにしちゃって、高木春樹の風上にも置けないやつ」
「ひでぇ言い草だなぁ、そりゃ俺は庶民ですよ」
 上着一枚はぎ取られたやつが何事もありませんと言っているみたいな顔で、茶髪男子ががムスッとする。
 杏奈がおばあちゃんに訊いた。
「この天ぷらなんでしたっけ? 柑橘系みたいな風味があって、軽快な歯ごたえがありますね?」
「それは、山で採ってきたウドね。葉っぱのほうは庭に生えていたよもぎと買ってきた春菊」
 着ている服の色に似た紺の大地に白い三尺バーベナの花を満開に咲かせたような笑顔で、おばあちゃんが料理の説明をし終えると、「そうだ」と奈緒が声を上げた。
「南ちゃんのお父さんも 連れてくればよかったかねぇ? 地元ビールとおばあちゃんの手料理で 最高だもん」
「ちょっと、成瀬さんっ」杏奈が迂闊な発言をたしなめる。
「あ、言っちゃまずいかな? いいのかな? いけなかった? だめだった?……ごめんな さいっ」奈緒がしゅんとして縮こまった。
 南が自嘲気味に微笑んで視線を落とす。
「誘ってもこなかったと思うよ。保護者同伴の旅行っていうのも……ねぇ」
「こっちが保護者だわよ」奈緒がなんとか笑いに持ち込もうとして、言葉をかぶせる。
「確かに。まあ、首にリード繋げておけば安心だとは思うけどね」
「そうだ、こっちに住んで、畑仕事とかすればいいんだ。なんにもないから、お酒買いに 行けないよ、きっと」
「酒屋は二つありますよ」おばあちゃんが言った。
「あら、だめだ。でも東京よりまし? 南ちゃんのためにお仕事してって頼めば違う?」
「だめだと思うよ」南の表情に悲しみが浮かぶ。「お父さんはわたしのこと嫌ってるから。今もまともに話してくれないし」



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