FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🍭

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 それから二階に通されたこの子は、右の部屋に案内された男子二人と別れて、左の客間に入った。シンプルな和室で、無駄な置物や壁掛けで飾られてもいない八畳間には、すでに布団が敷いてある。
 寝る準備のためにリュックを開けてスキンケア品類を取り出す杏奈に、奈緒が興味を示した。
「杏奈ちゃん、たくさん服入っているね」
「二泊三日だからね。成瀬さんのもそうでしょ」
「そうかな? そうかも」
 奈緒が開けたリュックを南がぞき込んで顔をしかめる。
「いや、なんか違うよ。これ、トートバッグばかりじゃん。なんのために三つも?」そう言って、空港保安検査員が顔負けするほどの鋭さで、ブツをリュックから引っ張り出す。それはいつもの紺でおじぞうざん模様の物の他、メジャーリーグのオフィシャルグッズのような文字の書かれた白いジップのと、上下が白と赤にブロッキングされた折りたためるものだった。
 奈緒が言い訳をするように、「下着があるよ」と大きな葵色の巾着袋を手に取った。
「それは当たり前として、トートには何入れる気?」
「いろいろだよ、パンとか」
「前もって調べてたの?」
 杏奈が驚くと、奈緒はきょとんとして首を振った。
「ううん、違うけど、でも、美味しい食べ物とかお土産とかを買って 入れるでしょ」
「奈緒の原動力は食い気だからね」
と、南が苦笑するが、呆れた様子の口調で言われたにもかかわらず、この子はその通りだと真剣に頷く。
 その諾うさまを見やって、いがぐりが鋭く反応してきた。
「でも、服ないじゃん。ボタンの下着っていうかノースリーブが一枚あるだけ」
「ズボンと“あうたあ”は同じでもいいよ。だから持ってこない。人はこれを “だおしゃり”と言う。 お気楽だから いいんです」
 とりとめもない話題を切り上げるように、杏奈が言った。
「断捨離ね。成瀬さんの言うことも一理あると思うけど、どっちでもいいよ。もう十時過ぎたから、そろそろ寝ようか」
 それを合図に奈緒が立ち上がって窓辺へと向かう。そしてカーテンを掴んでガラス越しに空を見上げた。雲の薄影の向こうに、星々が瞬いているのが見える。ゆっくりとカーテンを閉めると、杏奈が電気を消す。三人はおやすみを言い合ったあと、思い出したようにふすまを開けて、廊下の向こうの部屋に向かって「おやすみなさーい」と声をかけて布団に入った。





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