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二年生の一学期
🐿️
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南がその並木の葉を薙ぐように視線を滑らせて言った。
「さあもう着くよ。この先の街道に入るんだよ」
第一ミッションのクリアを目前にして、春樹が思い返すように後ろを振り向いて、今来た道を遠望する。
「なんにもねぇって言ってたわりに結構あんじゃん。この辺りまで来るとさすがに田舎町って風情だけど、途中スーパーらしきものもあったしな。MEGAキハーノ[激安ストア]あったじゃん。南お前、黒磯市民の反感かったぞ」
「うるさいなぁ、全部高木に授けるよ」
「いらねーよ」
杏奈が心配そうな顔して奈緒の様子を気遣う。
「それよりよかったの? ジュース買わなくて」
「うん。コンビニで買う」
「ないってコンビニ。自販機にしな」南が間髪入れずに割り込む。
春樹が鼻で笑った。
「そうは言ってもお前、その自販機がないじゃん。さっきのバス停からここまでだいぶ来たけど、今のところ自販機一つないんですけど」
南は、あからさまに不機嫌そうな顔になって反駁する。
「そこがいいんだよ、色々と。東京みたいに物が溢れかえっていても、そんなに必要なものってないじゃない。結局バリエーションが豊富なだけで、全部おんなじ。わたしのスマホにブルーライトカットのフィルム貼ろうと思って店行ったら、もうそのモデルのに貼れるのはないですだって、数年前のやつなのに。何店か回ったんだけど、全部おんなじ答え。大手なのにやんなっちゃう」
春樹は同情しなかった。
「話、すり替わってんだろ、それ。ずいぶんと個人的な内容に」
「うぐ」南は言葉に詰まる。
それを笑って、務が助け舟を出した。
「あれでしょ、自分で育てた野菜ジュースや、自分で焙煎した大麦茶や淹れたてドリップコーヒーなんかが自然に飲めるほうが、豊かだと思わない? って」
「そうそれ」南は、強調するように人差し指を立てて縦に振り回す。「おばあちゃんが言っていたでしょ、オーナーの女の人が自分で畑やってて、自分で育てた無農薬の人参を良心的なジュース工場の人に頼んでジュースにしてもらったんだって。――
「さあもう着くよ。この先の街道に入るんだよ」
第一ミッションのクリアを目前にして、春樹が思い返すように後ろを振り向いて、今来た道を遠望する。
「なんにもねぇって言ってたわりに結構あんじゃん。この辺りまで来るとさすがに田舎町って風情だけど、途中スーパーらしきものもあったしな。MEGAキハーノ[激安ストア]あったじゃん。南お前、黒磯市民の反感かったぞ」
「うるさいなぁ、全部高木に授けるよ」
「いらねーよ」
杏奈が心配そうな顔して奈緒の様子を気遣う。
「それよりよかったの? ジュース買わなくて」
「うん。コンビニで買う」
「ないってコンビニ。自販機にしな」南が間髪入れずに割り込む。
春樹が鼻で笑った。
「そうは言ってもお前、その自販機がないじゃん。さっきのバス停からここまでだいぶ来たけど、今のところ自販機一つないんですけど」
南は、あからさまに不機嫌そうな顔になって反駁する。
「そこがいいんだよ、色々と。東京みたいに物が溢れかえっていても、そんなに必要なものってないじゃない。結局バリエーションが豊富なだけで、全部おんなじ。わたしのスマホにブルーライトカットのフィルム貼ろうと思って店行ったら、もうそのモデルのに貼れるのはないですだって、数年前のやつなのに。何店か回ったんだけど、全部おんなじ答え。大手なのにやんなっちゃう」
春樹は同情しなかった。
「話、すり替わってんだろ、それ。ずいぶんと個人的な内容に」
「うぐ」南は言葉に詰まる。
それを笑って、務が助け舟を出した。
「あれでしょ、自分で育てた野菜ジュースや、自分で焙煎した大麦茶や淹れたてドリップコーヒーなんかが自然に飲めるほうが、豊かだと思わない? って」
「そうそれ」南は、強調するように人差し指を立てて縦に振り回す。「おばあちゃんが言っていたでしょ、オーナーの女の人が自分で畑やってて、自分で育てた無農薬の人参を良心的なジュース工場の人に頼んでジュースにしてもらったんだって。――
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