FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🐿️

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 杏奈が視線で彼のステップを追いながら答える。
「一極集中は続くんじゃない? さらに快適と利潤を求めて人は集まると思う。効率よく地方に住めるようにはなるとは思うけど、国内外の各地をつなぐハブは必要だし。人が動かなくてもいい社会になっても、体がなくなるわけじゃないからね。一人でいるのは、やっぱり精神衛生上よくないよ。必要がある時だけ会えばいいとかは違うと思う。それに、小さなコミュにしか属さない状況で、それが無くなったらどうしようっていう不安もあるし、すれ違うだけでも人を感じるのは大切だと思う」
「村八分問題とかもあるしね」南が付け加える。
「それはないでしょ」と春樹、「スマート化しちゃえば、人は介在しないんだから」。
「コミュレベルではあるかもしれないよ。地域の集まりに招待されないとか、ごみを回収してくれないとか、家への嫌がらせとか。防犯カメラが整備されていない田舎のほうではさ」
 話の途中でようやくやって来たジャンボタクシーに乗って走り出すと、交差点の手前で春樹が身を乗り出して、助手席に座る南に声を浴びせた。
「また南に騙された。いきなりドラグストアあんじゃん、こんなにでかいやつ。しかもコンビニあんじゃんファミスト[ファミリーストップの略]」
「うるさいなぁ、細かいやつは捨ててくぞ」
 春樹は慌てて押し黙ってシートに身を沈めた。
 代わりに、彼の左に座っていた奈緒が話し始める。
「本当にキャンプできるかな? 想像と 全 然 違う。さっきの四 階 建てのマン ション過ぎた あたりから、自然が増えて来た けれど、田舎。田舎って言うのも変だけれど、家がある」
「あ、でも左はもう森みたくなってきたよ、右側も崖みたいだし、大きな川なんじゃないかな」三列目に座る務が答える。
「で も また 民家が戻って きた わ よ」
 奈緒は心配を払しょくしきれない様子だったが、それとは裏腹に自然が優勢な環境が続き、水も無く何も植えられていない田んぼがある二股を過ぎた頃には、辺りは杉林へと変貌した。
 大きな交差点を過ぎると、南がフロントガラスの向こうを見やって、ほっとした様子で言った。
「あ、やっと見覚えのある風景――に? 突入した感じだよ」
「不安な言い方ね」杏奈が瞳を震わせて、務の左横で呟く。
 水のはられた田んぼで辺りが開けると、遠くに那須山の尾根が横たわっているのが見えた。
「あ! 確実に分かったよ」
 南の声で、那須山を見ていた四人が、正面へと視線を移す。その瞬間、左の窓から見ごろを迎えた藤の花が見え、それが、正面を向くのに遅れた奈緒の瞳にだけ映る。
「桜があった」
「うそ」みんなが外を見る。
「もう通り過ぎた」
「今渡った橋にも見覚えがあるよ」南が、うなだれるみんなに伝える。







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