FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🌸

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 橋の右側に据えられたフェンスの向こうに赤桃色に咲き乱れる桜の木があったが、みんなは左を見ていたので、またも奈緒の瞳にしか映らなかった。この子は何かを言おうとした直後、虎色のロープで規制された敷地に桜並木道があるのが見えた。
「あ、ほら、桜たくさん」奈緒が教える。
 みんなが振り返った時にはもう通り過ぎていたが、細い木々の間隙を縫って、赤白い花が咲くさまが窺えた。
 脱力した春樹が、仙骨座りになるまでうなだれる。
「ああ、また見逃した。俺の黒磯桜巡りはこれでおしまいなのか」
「帰りに見ていこうね」奈緒が柔和な微笑を浮かべて慰める。
 右にある私道らしき砂利敷きの道の前でジャンボタクシーが停まって車から降りると、みんなは示し合わせたように今来た道の方角を見やる。そして誰もが口を閉ざして、南をねめつけた。
「あ、なによ、みんな桜は見落としたくせに、なんて目ざとい」南ドン引き。
 奈緒が、スマホで調べ始めた杏奈の手元を見やって口を開く。
「あるじゃん、バス。地域のやつ」
「バス停出てこないね」杏奈が呟く。
 検索をかけ直す彼女に代わって、務が口を開いた。
「周遊タクシーかな? 一時間前までに連絡すると来てもらえるみたいだね」 
 自分のスマホに示された文字に視線を走らせて、車窓から見えたバス停らしきものについて説明する。
「なはは、時代は移り行くものだね」
 南は笑ったが誰も笑わない。いっとき気まずい空気がそよそよ流れて、仕方なさそうにしょんぼり肩を落とす。そして手のひらを眼前で合わせて、嘆くように声を上げた。
「ごめーん、自販機あったから許して」
「昨日西朋で、たくさん買って きましたよ」奈緒が冷たくあしらう。
 春樹が笑った。
「あの自販機そもそもが遠すぎて、買いに戻れないけどな」
「まあまあまあ、そんなことおっしゃらないで。貸別荘は格別だから、とりあえず見に行こうよ」
 南がそうお伺いを立ててエスコートを申し出ると、奈緒たちは若芽が鮮やかな緑に萌える林の中へと足を踏み入れた。







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