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二年生の一学期
🐿️
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奈緒はそれを無視して、またパンの包みに手を伸ばした。
「待って待って」南がとめる。「サラダも食べて。奈緒のために作ったポテサラなんだよ」
「うそだよ。千切り玉ねぎのってるもん」
「それこそ奈緒のためだよ」へらりとにやりが混ざった笑みを浮かべる。「大丈夫だよ、オリーブオイル使ってるから、酸味は包まれてるし、お醤油と顆粒のかつおだしで和風に仕上げてあるから、食べやすいと思うよ」
「うへぇ、いやだ。人参サラダとポテサラだけ食べる」
そう言ってスプーンで玉ねぎを端によけると、他のだけを口に運ぶ。
結局、集団の圧力に屈してオニオンスライスを全部食べさせられた奈緒が、「ああ、なんかおなかいっぱい。それに一 日 中 口の中が 甘すぎ」と言って、背もたれに背中を沈める。
それをしり目に、南がつっこんだ。
「お昼、カレー食べる前、真っ先にキャロットケーキ食べてたしね。菓子パンばかり買うから、昼間っから甘いものばかり食べ続けてきたでしょ、だからだよ」
「うん。キャロットケーキ、ねっちょりとしていてちょっと酸味があって美味しかった。クリームチーズたっぷり。クルミとレーズン最高だった。ちょっとひんやりしてて気持ちよ かった」とマシュマロのようなふわふわした笑みを湛えた。それはとても満足そうな笑みであった。
そんな表情のまま続ける。
「今日はもう最悪。さんざん玉ねぎ食べさせられて、寿命が縮まる思いでしたわよ。安心して ごはん 食べられたのは、朝だけでした」
食器のかたづけが終わると、奈緒が「そうだと」叫んでそそくさと二階への階段を上がる。何事かと見やって待っていたみんなの前に戻って下りていく彼女の手には、赤オレンジ色の裸の毛布が三つ抱えられていた。その一つが滑り落ちて、滑り台を滑るように一階まで流れてきた。
「よっこらよっこらよっこらしょ、あ、どっこいどっこいどっこいしょ」と音頭を取りながら、一度全部落とした毛布を階段のわきに積み上げる。
「外寒い? 寒いかな? だからあったかい恰好を しなきゃね。待っててね。あと二つ取って きますから」
そう言って再び二階へと戻っていって、毛布をあと二つ持ってきた。
「待って待って」南がとめる。「サラダも食べて。奈緒のために作ったポテサラなんだよ」
「うそだよ。千切り玉ねぎのってるもん」
「それこそ奈緒のためだよ」へらりとにやりが混ざった笑みを浮かべる。「大丈夫だよ、オリーブオイル使ってるから、酸味は包まれてるし、お醤油と顆粒のかつおだしで和風に仕上げてあるから、食べやすいと思うよ」
「うへぇ、いやだ。人参サラダとポテサラだけ食べる」
そう言ってスプーンで玉ねぎを端によけると、他のだけを口に運ぶ。
結局、集団の圧力に屈してオニオンスライスを全部食べさせられた奈緒が、「ああ、なんかおなかいっぱい。それに一 日 中 口の中が 甘すぎ」と言って、背もたれに背中を沈める。
それをしり目に、南がつっこんだ。
「お昼、カレー食べる前、真っ先にキャロットケーキ食べてたしね。菓子パンばかり買うから、昼間っから甘いものばかり食べ続けてきたでしょ、だからだよ」
「うん。キャロットケーキ、ねっちょりとしていてちょっと酸味があって美味しかった。クリームチーズたっぷり。クルミとレーズン最高だった。ちょっとひんやりしてて気持ちよ かった」とマシュマロのようなふわふわした笑みを湛えた。それはとても満足そうな笑みであった。
そんな表情のまま続ける。
「今日はもう最悪。さんざん玉ねぎ食べさせられて、寿命が縮まる思いでしたわよ。安心して ごはん 食べられたのは、朝だけでした」
食器のかたづけが終わると、奈緒が「そうだと」叫んでそそくさと二階への階段を上がる。何事かと見やって待っていたみんなの前に戻って下りていく彼女の手には、赤オレンジ色の裸の毛布が三つ抱えられていた。その一つが滑り落ちて、滑り台を滑るように一階まで流れてきた。
「よっこらよっこらよっこらしょ、あ、どっこいどっこいどっこいしょ」と音頭を取りながら、一度全部落とした毛布を階段のわきに積み上げる。
「外寒い? 寒いかな? だからあったかい恰好を しなきゃね。待っててね。あと二つ取って きますから」
そう言って再び二階へと戻っていって、毛布をあと二つ持ってきた。
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