FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

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 務がそれを抱えてバルコニーに面した窓までもっていくと、春樹が懐中電灯を持って裏庭の倉庫へと小走りで行って、キャンプ用のリクライニングチェアーを人数分用意して外に並べる。
 開いた窓から流れ込んできた外気の冷たさに身震いした杏奈が、キッチンに振り返る。
「お湯沸かそう。温かいミルクティー用意したほうがいいよね」
「うわぁぁぁ、さぶいさぶいさぶい」
 奈緒は、山積みにされた毛布を取って小学校の生徒が普段おざぶとんにしている防災頭巾のように頭からかぶって、手伝いのために杏奈のもとへと向かう南を見送る。
 春樹がバルコニーから声をかけてきた。
「なにやってんだ、奈緒、マトリョーシカみたいな格好して。一番暖かそうな格好してんに」
 奈緒が見やった春樹の姿は、上下ストーンホワイトの長袖フーディ―にスウェットパンツ。務は半そでのTシャツに黒いジャージを穿いていて、南と杏奈も含めて四人とも初日の寝姿と同じだ。奈緒だけがまだ私服で、赤いパジャマ姿ではなく、赤と白のワイシャツに黒いジャケットを着ている。
「さあ、紅茶がはいったわよ」
 杏奈の声に、みんなが振り返る。円筒形の湯飲みを三つお盆に乗せた彼女がやって来た。その後ろには、同じく円筒形のコーヒーマグ二つを手に持った南が続く。
「奈緒は落とすといけないから、ハンドル付きにしな」
「ちょっと まって」
 奈緒は、南から差し出されたコーヒーマグを受け取らずに立ち上がると、毛布にくるまったまま芋虫のようにちょこちょこと前進して、バルコニーに並べられたリクライニングチェアーへと向かう。
 それを見ながら春樹が、しみじみと感じ入るように言った。
「ああやって部長は作られていくんだな」
 奈緒の後ろで南が鼻息を鳴らして、彼に答える。
 二人の姿は、何枚もの厚手のショールにくるまれたわがままなお姫様と、それに文句を言いながらもきちんと付き従う侍従のようであった。




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