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二年生の一学期
🐿️
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奈緒が右を向いて一番端を見ると、みんなの注目を集めた杏奈が、焦りを覚えた口調で言った。
「え? え? わたし?――なんだろう。今はなにも考えてないかな。勉強で忙しいし、生徒会もあるし。そういえば、深く将来を考えたことないかも。今思いつく限りで言うと、コンサルとかしてみたかな。クラス委員長や生徒会として活動してきて、みんなで協力しあってなにかを成し遂げたり、社会や生活をよりよい方向に改善してくようにみんなを導けるような仕事?――」そこで言葉を詰まらせて、務に助けを求める。
「僕もおなじようなものかな。普通に高校を卒業して、大学に行って、就職して……それくらいしか思い浮かばないかな。しいて言えば、生徒会として、この学校に入ってよかったって思ってもらえるような学校生活を築くことくらいしか思いつかないよ。できれば社会学とかを学んで、持続可能な社会を築くためにまい進しているような会社に入りたいとは思うけど」
杏奈が訊く。
「成瀬さんは、どうなの? みんなに訊くからには、ちゃんと考えているんでしょう?」
奈緒は、困った顔をして横になると、星影瞬く昊天を見上げた。
「わ た し は、病気にならなければ、画家を目指していた と 思う。高校でも 美術部入って、大学でも 習って、“あぽりえ”開きたかった。でも もうだめ、諦めるしかないと いうか、諦めました。でも、絵は 好きなので、続ける。病気になってから最初に左手で キャンバスに 絵を描いた時、とても絶望したけど、なんか描きたくて 今まで来たから、これからも描くと思うし。大きな 絵とか 油絵 とかは 無理だけど、絵 は が き マ ス ター に なる。絵 は が き 教室、出来るかな?」
そう言うと、奈緒は身を起こして、「そういう“あぽりえ”開きたい」と叫んで、南を見た。
「おばあちゃんのうちみ た く、絵はがき飾るの。それで、遊びに来た お客さんに、これどうぞって あげる。お母さんの英語教室がお休みの時するの」
「収入はどうするの?」南が訊く。
「だから、百円であげるの」
「なるほど」各々が頷いた。
奈緒の様子が、一瞬豆電球が光るように輝いた。
「そうだ。南ちゃんのカフェで売る」
「そうしてそうして」南が破顔した。
感心しながら側臥した杏奈が、奈緒を見つめながら一口紅茶をすする。
「すごいね、障がいがあるのに、そんなにたくさん夢があるなんて。わたしだったら、そんなふうに夢をいだけるかな」
「障害は関係ないよ。わたしはわたしだもん。なにも 変 わ ら ない。だ か ら、杏奈ちゃん だったら、どんなになっても 夢持てる と思う」
「え? え? わたし?――なんだろう。今はなにも考えてないかな。勉強で忙しいし、生徒会もあるし。そういえば、深く将来を考えたことないかも。今思いつく限りで言うと、コンサルとかしてみたかな。クラス委員長や生徒会として活動してきて、みんなで協力しあってなにかを成し遂げたり、社会や生活をよりよい方向に改善してくようにみんなを導けるような仕事?――」そこで言葉を詰まらせて、務に助けを求める。
「僕もおなじようなものかな。普通に高校を卒業して、大学に行って、就職して……それくらいしか思い浮かばないかな。しいて言えば、生徒会として、この学校に入ってよかったって思ってもらえるような学校生活を築くことくらいしか思いつかないよ。できれば社会学とかを学んで、持続可能な社会を築くためにまい進しているような会社に入りたいとは思うけど」
杏奈が訊く。
「成瀬さんは、どうなの? みんなに訊くからには、ちゃんと考えているんでしょう?」
奈緒は、困った顔をして横になると、星影瞬く昊天を見上げた。
「わ た し は、病気にならなければ、画家を目指していた と 思う。高校でも 美術部入って、大学でも 習って、“あぽりえ”開きたかった。でも もうだめ、諦めるしかないと いうか、諦めました。でも、絵は 好きなので、続ける。病気になってから最初に左手で キャンバスに 絵を描いた時、とても絶望したけど、なんか描きたくて 今まで来たから、これからも描くと思うし。大きな 絵とか 油絵 とかは 無理だけど、絵 は が き マ ス ター に なる。絵 は が き 教室、出来るかな?」
そう言うと、奈緒は身を起こして、「そういう“あぽりえ”開きたい」と叫んで、南を見た。
「おばあちゃんのうちみ た く、絵はがき飾るの。それで、遊びに来た お客さんに、これどうぞって あげる。お母さんの英語教室がお休みの時するの」
「収入はどうするの?」南が訊く。
「だから、百円であげるの」
「なるほど」各々が頷いた。
奈緒の様子が、一瞬豆電球が光るように輝いた。
「そうだ。南ちゃんのカフェで売る」
「そうしてそうして」南が破顔した。
感心しながら側臥した杏奈が、奈緒を見つめながら一口紅茶をすする。
「すごいね、障がいがあるのに、そんなにたくさん夢があるなんて。わたしだったら、そんなふうに夢をいだけるかな」
「障害は関係ないよ。わたしはわたしだもん。なにも 変 わ ら ない。だ か ら、杏奈ちゃん だったら、どんなになっても 夢持てる と思う」
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