FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🐗

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 杏奈が、野菜と肉を入れながら、ハッと固まって箸をとめた。
「お鍋の中混ざっちゃった。もうどれがどのお肉か分からないわ」
 申し訳なさそうに双眸の潤いを揺蕩わせてみんなを見ると、おばあちゃんが頓着しない様子で微笑む。
「気にしなくてもいいわよ、そんな肩肘ばって食べる料理じゃないからね。狩りしてその場でさばいて煮込んで出されたお昼ごはんでしょ、いわば山賊料理みたいなものよ、お侍さんには申し訳ないけど」
 みんなが、思い思いにキャンプの思い出をおばあちゃんに語り終えると、春樹が話題を変えた。
「しかし、南にはいろいろ騙されたな。黒磯、すっげー発展してんじゃん。自販機ねーとか言っておいて、結局そこら中にあるし、コンビニちゃんと進出してきてたしよ。人もいなけりゃ名物もなしみたいなこと言ってたのに」
「まだゆうか」南が静かに凄んだかと思うと、「いてっ」と春樹が叫んでビクッと身を縮めた。座卓の下で蹴られたようだ。
 きょとんとするおばあちゃんが、くすくすしながら口を押える杏奈から説明を受けると、声を上げて大らかに笑った。
「なに、南はそんなことを言っていたのかい? ひどい孫だね」
 許しを請うように笑った南が鹿肉を菜箸で掬い上げたので、奈緒が物欲しげにお肉を見やってから二つある彼女の黒星へおねだりするような視線向けて、訴えるように見つめる。
 南は「しょうがないなぁ」と呟くと、黙って見上げる奈緒の前に置いてある生成色のとんすいに、十センチくらいあるスライスベーコンみたいな一枚を入れてくれた。
 奈緒は肉を見下ろすと、眉をしかめて南を見上げる。
 それに気がついた南が膝立ちになって、奈緒が使っていたとんすいを手に取った。
「君にはハンデがあるから取ってあげよう。そうしないと美味しいところみんな取られちゃうからね」
 やさしく言って、鹿肉の他に何か分からない肉を入れると奈緒の前に置く。
「ええっ?」奈緒が信じられない様子で、両目をしかめて見上げる。
 南が笑って、もう五センチくらいの切れ端を一枚入れた。
 だが奈緒は、「え? え?」眉をしかめて南を見る。
 南が笑って、小さな雉肉のかけらをひとつ。
 やっぱり奈緒は眉をしかめて、「え? え?」と彼女に訴えかける。
 南が笑って、もう何の肉か分からない小さな塊を入れる。
 今度は声のトーンを落として「え? え?」とアピールをかます。
「しょうがないなぁ。あと一枚だけだよ。みんなの分もあるんだから」と言って、十センチくらいの鹿肉をつまんで、奈緒のとんすいに落とす。
 この子は満面の笑みを浮かべると、「あ り が と おっ」赤ちゃん言葉で叫んだ。
 食卓を囲む六人の賑わいは、最後まで土鍋のように熱々のままだった。







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