FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

第百五十一話 好意的な差別

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 太陽の陽射しは、まだある程度高いところから降り注いでいたが、それでもそのうち夕方と言われる時間帯に突入することだろう。それほどまでに陽の光は柔和な感じで街を照らしていた。奈緒の画材店入店からすでに二時間以上が経過しており、二人の表情は疲労困憊した様子で、どっと老け込んだようにも見えるほどうな垂れている。
 一言も交わさずに駅へと向かうさなか、杏奈が不意に空を見上げた。
「よかったねぇ、大ごとにならなくて。一歩間違っていたら、成瀬さん今頃警察沙汰だよ」
 眼前で背伸びをしながらそう喋る背中をぼんやりと見つめる奈緒は、頷きもせず黙ってついて歩いていた。
 杏奈が続ける。
「でもあの店長最低だったね、言葉は丁寧だけど心が歪んでるっていうかどす黒いっていうか。ああいう人がいるから、世の中よくならないのよ。もうやめたら? あんなお店に行くの。ワール堂とかいろいろ大きな画材店あるじゃない。そもそも今はもう絵はがきしかしていないんでしょ? 絵手紙教室で墨汁とか和紙とかは買っているって言っていたじゃない。そこだけでもいいんじゃないの? わざわざあんなむかつく店長がいるお店になんて行く必要ないよ」
 一息ついた杏奈が、白い革製のミニリュックの細いショルダーを両手の親指でなぞり下ろす。
「クレーム入れたいくらいだけれど、成瀬さんのことも許してくれたし、まあ今回はこっちも許そうかな」
 突然奈緒が立ち止まった。それに気がついて立ち止まって振り返る姿に、この子が不満と不安が混在した眼差しを向けて、そのまま彼女の双眸を見つめる。
「なんでわたしを疑うの? わたしやって いないのよ、信じてくれないの? 杏奈ちゃんのゆう 通り、わたしは身体障がい者 です。脳みそも 半分しか ありませんが、 それでも泥棒なんて いたしま せんっ。こんなわたしですが、“それでもろ”そんなふうに言われるのは、心外です」
 
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