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二年生の一学期
第百五十三話 久しぶりの五人
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黒板に事実無根のスクープ文字が躍っていた同じ日の昼休み、二階にある校長室に呼ばれていた奈緒がドアを開けて廊下に出ると、そこには南を中心に、杏奈、務、春樹がいた。
「大丈夫だった? 奈緒」南が、中庭が見下ろせる窓枠から背を離して声をかける。
言葉なく頷く奈緒に、春樹がほっと一息ついて言った。
「でもよかったな、見つかって。心配したんだぜ、朝お前、行方不明になって学校中大騒ぎだったからさ」
一時間目の授業が始まる前、学校全体に奈緒を捜索する校内放送が鳴り響いて、保健室の机に向かっていた女性保健師が、この子の寝るベッドに静かに歩み寄って起きるのを促してきたが、この子は無視して布団にもぐったまま午前中を過ごしていた。保健師がこの子の所在を連絡していたのか、お昼休みに入った直後に、こんどは校長室に来るようにという内容の放送があって、ようやく奈緒は起き上がって指定された場所へと向かい、今の今まで校長と教頭、担任の鈴木沙雪に事情を訊かれていたのだった。
杏奈が心配そうに奈緒の顔を覗く。
「それにしてもなんでばれたんだろう、昨日の今日なのに」
注目を集めた杏奈は、慌てて指を左右に振った。
「ううん。無実だったのよ。たまたまいつものてさげに万年筆が紛れ込んじゃっていて、それに防犯ゲートが反応しちゃっただけ。ちゃんと説明してお店の人には分かってもらえたから大丈夫だったの」
杏奈の顔貌に目を見張っていた南が、眼球の力を抜いて奈緒を見る。
「校長先生はなんて言ってたの?」
「万年筆を盗んだのは事実ですかって。ち が い ま す、画材店の お店で も め た の は事実ですが、知らないうちに、あらあらあら~ってコロッていって、ブザーが鳴りましたって説明 した。他にも話したけど、もう~分かんな~い、ねえぇ。混乱して全部こっちからこう」
そう言いながら、左手を右耳から左耳に向けてスライドする。
「僕たちは信じるよ」務が静かに優しく声をかけた。「少なくともここにいる四人、上手くすれば流川さんと落合さんも分かってくれると思う。新島さんにも事情を説明して、成瀬さんが孤立しないように努めてもらおう」
「大丈夫だった? 奈緒」南が、中庭が見下ろせる窓枠から背を離して声をかける。
言葉なく頷く奈緒に、春樹がほっと一息ついて言った。
「でもよかったな、見つかって。心配したんだぜ、朝お前、行方不明になって学校中大騒ぎだったからさ」
一時間目の授業が始まる前、学校全体に奈緒を捜索する校内放送が鳴り響いて、保健室の机に向かっていた女性保健師が、この子の寝るベッドに静かに歩み寄って起きるのを促してきたが、この子は無視して布団にもぐったまま午前中を過ごしていた。保健師がこの子の所在を連絡していたのか、お昼休みに入った直後に、こんどは校長室に来るようにという内容の放送があって、ようやく奈緒は起き上がって指定された場所へと向かい、今の今まで校長と教頭、担任の鈴木沙雪に事情を訊かれていたのだった。
杏奈が心配そうに奈緒の顔を覗く。
「それにしてもなんでばれたんだろう、昨日の今日なのに」
注目を集めた杏奈は、慌てて指を左右に振った。
「ううん。無実だったのよ。たまたまいつものてさげに万年筆が紛れ込んじゃっていて、それに防犯ゲートが反応しちゃっただけ。ちゃんと説明してお店の人には分かってもらえたから大丈夫だったの」
杏奈の顔貌に目を見張っていた南が、眼球の力を抜いて奈緒を見る。
「校長先生はなんて言ってたの?」
「万年筆を盗んだのは事実ですかって。ち が い ま す、画材店の お店で も め た の は事実ですが、知らないうちに、あらあらあら~ってコロッていって、ブザーが鳴りましたって説明 した。他にも話したけど、もう~分かんな~い、ねえぇ。混乱して全部こっちからこう」
そう言いながら、左手を右耳から左耳に向けてスライドする。
「僕たちは信じるよ」務が静かに優しく声をかけた。「少なくともここにいる四人、上手くすれば流川さんと落合さんも分かってくれると思う。新島さんにも事情を説明して、成瀬さんが孤立しないように努めてもらおう」
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