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二年生の一学期
🐿️
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奈緒の二の腕を掴んで校長室から離れながら、少しボリュームを押さえて念を押した。
務が頷いて、奈緒に自分の目を見るよう促すようなアイメッセージを送る。
「噂にはなっているけど、校長先生が心配するほどじゃないよ。逆に成瀬さんがするわけないって思っている人もいっぱいいる」
みんなは教室のある階上へとは向かわずに、来客用玄関のそばにある階段から一階へと下りていく。
最後の段から離した足で廊下をUターンすると、なぜこんな空間があるのか定かではない袋小路の壁にある大きな鏡の前へと皆を誘導した南が、その暗がりの中で鬼の首を斬り落とすように言葉を振るう。
「そうだよ。そもそもその時、バラで絵の具も買ってたんでしょ、パクるならそっちじゃん。タグ付いてないし。状況証拠的に盗ってないって確定じゃん」
「呆れた」と杏奈が嘆息する。
務と春樹ばかりか奈緒にまでも白いまなざしを向けられて、南がたじろぐ。
「うぐっ、たとえ話じゃん、庇ったんだよ、奈緒のことを。わざわざタグのついたやつ盗らないでしょ。奈緒だってあればブザーなるやつだって分かるよね」
「分かんない」
「ああ、そう。でもそれ言っちゃだめだよ。知ってることにしておいて」
「うん」
その会話を他のみんなが黙殺する。
南の胸元に結ばれた紫色のリボンを、奈緒が逡巡するようなしかめっ面で見つめながら、頭を傾げた。
「大ごとなのは間違いないの。先生が 心配しているのも 間違いないの。だって昨日うちに帰ったら、玄関 まで お母さんが出てきて 心配そうな表情をして 迎えて く れ た から。画材店でのこと大丈夫って訊かれた から、学校から伝わって るんだと お も う、たぶん」
「おばさんはなんて?」務が訊く。
「もしつらいのなら、学校休んでもいいのよって言ってくれた。学校は、学んで 育んだりするところだから、無理していやいや行くのなら、おうちでお絵描きしていたほうが奈緒のためになるでしょおって 言って くれた」
務が頷いて、奈緒に自分の目を見るよう促すようなアイメッセージを送る。
「噂にはなっているけど、校長先生が心配するほどじゃないよ。逆に成瀬さんがするわけないって思っている人もいっぱいいる」
みんなは教室のある階上へとは向かわずに、来客用玄関のそばにある階段から一階へと下りていく。
最後の段から離した足で廊下をUターンすると、なぜこんな空間があるのか定かではない袋小路の壁にある大きな鏡の前へと皆を誘導した南が、その暗がりの中で鬼の首を斬り落とすように言葉を振るう。
「そうだよ。そもそもその時、バラで絵の具も買ってたんでしょ、パクるならそっちじゃん。タグ付いてないし。状況証拠的に盗ってないって確定じゃん」
「呆れた」と杏奈が嘆息する。
務と春樹ばかりか奈緒にまでも白いまなざしを向けられて、南がたじろぐ。
「うぐっ、たとえ話じゃん、庇ったんだよ、奈緒のことを。わざわざタグのついたやつ盗らないでしょ。奈緒だってあればブザーなるやつだって分かるよね」
「分かんない」
「ああ、そう。でもそれ言っちゃだめだよ。知ってることにしておいて」
「うん」
その会話を他のみんなが黙殺する。
南の胸元に結ばれた紫色のリボンを、奈緒が逡巡するようなしかめっ面で見つめながら、頭を傾げた。
「大ごとなのは間違いないの。先生が 心配しているのも 間違いないの。だって昨日うちに帰ったら、玄関 まで お母さんが出てきて 心配そうな表情をして 迎えて く れ た から。画材店でのこと大丈夫って訊かれた から、学校から伝わって るんだと お も う、たぶん」
「おばさんはなんて?」務が訊く。
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