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二年生の一学期
🐿️
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「影響なんてこれっぽっちもないよ」
務が語気を強めると、その態度の変化に気がついたのか、春樹はムッとした様子で眉間に皺を寄せる。
「でも、スクーターの時だって、結構みんな動揺してたぜ。あれの影響で、地域交流会以来出ていた奈緒の人気が下火になったじゃんか。何日か南が謹慎したけど、あれがなかったら、もっとみんな引いた感じになったと思うぞ」
奈緒と杏奈に剣呑な表情が浮かぶのを見とった南が、申し訳なさそうにへらりと笑った。
「まあそうだけど、レディースだったわたしとは違うでしょ。わたしは慣れっこだけど、奈緒は違う。こんな扱い受けるなんて不当だよ。休んだらどんどん影が薄くなって、居場所がなくなっちゃうと思う。土屋の言う通り、奈緒に同情してくれている子はいるんだし、登校しても問題ないんじゃないかな。クラスにはわたしも土屋もいるんだしさ。頼りにはなりそうもないけど、流川や落合もいるんだもんね、なんとかなると思う」
杏奈が厳しい表情を南に向けた。
「でも、だからこそ休むという選択肢も考えるべきじゃないかしら。成瀬さんに同情を示した人たちと疑っている人たちとの間には、やっぱり距離が開いてしまうと思うよ。成瀬さんって、B組の小山内さんとも仲いいけど、あの子どうみても小沢さんみたいな人に免疫全くない人だよ。わたしもそうだけど、自分の場合は生徒会とかクラス委員長とかっていう立場的な後ろ盾があるし、ナナたちみたいな友達もいるから、多少免疫あってやってこられたけれど、普通に考えたら、噂でも万引きなんて話が出てくると怯えてしまうと思う。実際、美術部の後輩が小沢さんに怯えていたとこ見たことあるし」
「それには弁明の余地もないね。ほんとごめん、それは謝る」南が眼前でパチンと音を立てて両手を合わせて頭を下げ、無理に口角を上げる
杏奈がこくりと頷いてから、務に視線を移す。
「成瀬さんのこと心配するのもいいけれど、それが本当に成瀬さんのためになるかは疑問だよ。二年になってから環境が変わって、隠れたストレスをすごい受けてきたと思う。今回のことだって、わたしだったら絶対休んじゃうだろうし。それでもちゃんと登校してこられた成瀬さんは強いと思うけれど、だからと言って無尽蔵に精神力が湧いてくるわけではないでしょう? どこかで気持ちがこと切れたら立ち直れない。わたしたちはみんな成瀬さんのことを信じているし、休まずに学校に来てほしいと思っているけれど、わたしたちの想いに答えるために無理して学校に来させて心が折れたら、本末転倒だよ。普段から一生懸命だからこそ、ここでさらに無理させたら、成瀬さんがもたない。それに、周りが奇異の目で見ている限り噂は絶えない。少しの間休んでもらって、そのかんにわたしたちの態勢を整えようよ」
務が語気を強めると、その態度の変化に気がついたのか、春樹はムッとした様子で眉間に皺を寄せる。
「でも、スクーターの時だって、結構みんな動揺してたぜ。あれの影響で、地域交流会以来出ていた奈緒の人気が下火になったじゃんか。何日か南が謹慎したけど、あれがなかったら、もっとみんな引いた感じになったと思うぞ」
奈緒と杏奈に剣呑な表情が浮かぶのを見とった南が、申し訳なさそうにへらりと笑った。
「まあそうだけど、レディースだったわたしとは違うでしょ。わたしは慣れっこだけど、奈緒は違う。こんな扱い受けるなんて不当だよ。休んだらどんどん影が薄くなって、居場所がなくなっちゃうと思う。土屋の言う通り、奈緒に同情してくれている子はいるんだし、登校しても問題ないんじゃないかな。クラスにはわたしも土屋もいるんだしさ。頼りにはなりそうもないけど、流川や落合もいるんだもんね、なんとかなると思う」
杏奈が厳しい表情を南に向けた。
「でも、だからこそ休むという選択肢も考えるべきじゃないかしら。成瀬さんに同情を示した人たちと疑っている人たちとの間には、やっぱり距離が開いてしまうと思うよ。成瀬さんって、B組の小山内さんとも仲いいけど、あの子どうみても小沢さんみたいな人に免疫全くない人だよ。わたしもそうだけど、自分の場合は生徒会とかクラス委員長とかっていう立場的な後ろ盾があるし、ナナたちみたいな友達もいるから、多少免疫あってやってこられたけれど、普通に考えたら、噂でも万引きなんて話が出てくると怯えてしまうと思う。実際、美術部の後輩が小沢さんに怯えていたとこ見たことあるし」
「それには弁明の余地もないね。ほんとごめん、それは謝る」南が眼前でパチンと音を立てて両手を合わせて頭を下げ、無理に口角を上げる
杏奈がこくりと頷いてから、務に視線を移す。
「成瀬さんのこと心配するのもいいけれど、それが本当に成瀬さんのためになるかは疑問だよ。二年になってから環境が変わって、隠れたストレスをすごい受けてきたと思う。今回のことだって、わたしだったら絶対休んじゃうだろうし。それでもちゃんと登校してこられた成瀬さんは強いと思うけれど、だからと言って無尽蔵に精神力が湧いてくるわけではないでしょう? どこかで気持ちがこと切れたら立ち直れない。わたしたちはみんな成瀬さんのことを信じているし、休まずに学校に来てほしいと思っているけれど、わたしたちの想いに答えるために無理して学校に来させて心が折れたら、本末転倒だよ。普段から一生懸命だからこそ、ここでさらに無理させたら、成瀬さんがもたない。それに、周りが奇異の目で見ている限り噂は絶えない。少しの間休んでもらって、そのかんにわたしたちの態勢を整えようよ」
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