FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

第百五十九話 訪問者

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 数日が過ぎたある日の夕方、おどおどとした表情で玄関に立つ奈緒が、外の様子を窺うように顔を出していた。
 母親が応対するインターホンのモニターに映った友の姿を見て、うれしさで頬を緩めながらも一瞬逡巡した様子で固まったこの子は、ハッと我に返ってぴょっこぴょっこと玄関へと走ったのだったが、ドアを開ける直前になって怖気づいてしまったようだった。
 外に立ち尽くしている南の様子は、心配しているような申し訳なく思っているような微妙に悲しげな表情だったが、白い半そで腰丈のワイシャツという夏の制服に衣替えしたいでたちを魚眼レンズ越しに見た奈緒は、その煌めく清々しさに息を飲み、それからノブに手をかけるまで、多少の時間を要してから、ようやくドアを開けたのだった。
 南が空を切るように右足を軽く蹴り上げながら、スカートのポケット左右に親指を引っかける。
「どうして学校に来ないの? みんな心配しているんだよ。守ってあげるからがんばろうよって話してたばかりだったのに急に来なくなったから、様子を見に来てみた。いつ頃戻ってくる?」
 物憂げな表情を浮かべる奈緒の様子を見て少し青ざめた面差しの南が、退潮していく血の気を押しとどめて問う。奈緒の相貌は、それほどまでに変化していた。精気がないというか、幽霊のようなやつれた顔色で、目は虚ろ。とても静養して回復しつつあるといった様子ではなかった。
 この子は後ろを振り返って人の気配を窺うように家の奥を見やると、外に出てドアを閉めてそこに寄りかかる。そして、旗の台で交わした杏奈との会話の影響で変化した心境を語った。
 南が、眉も目も唇をも鼻に寄せて、皺くちゃな顔で訝しげに目を見開く。
「なにその胡散臭い話。ていうか、みんなとの話し合いで、登校しようってことになったじゃない。杏奈だってその方向で学校を説得していたんじゃないの? それに大会とか大学の印象とかどうでもいいじゃん。その場にいなかった二人にどんな災難が降りかかるって言うのよ」
「でも、杏奈ちゃんも罪を問われたって言ってた」
「まあその場にいたから疑われることもあるだろうけど、罪に問われるほどかな。べつに一緒にいたわけじゃないでしょ、たまたまでしょ」
「でも、杏奈ちゃんの言うことも一理あると 思う」
「微塵もないよ」
「聞いて。 わたしのせいで学校のイメージが悪くなったのも事実だし、みんなに迷惑もかけた。もしかしたらやっぱり盗ったのかなぁって思う。字を書いたりして、間違っててさげに入れたのかもしれないから。分かんないけど。一年の時みたいに、みんなに守ってもらえたら 大丈夫かなぁって思ったけれども、二年になったらもう受験の猛勉強の人もいるでしょ? 春樹君も大会あるし、練習にいそしみたいです よね。だから、あの時みたいにこうこうこうって守ってもらっちゃたりしたら、迷惑だと思う。南ちゃんも迷惑でしょ、バイト増やしたのに」





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