FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

第百六十三話 四天王+α

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 みるみる間に、愛らしい肝っ玉新妻風たい焼き奥さんが奈緒の口の中に納まっていく。嚥下するたび上下する喉元に、なぜか春樹の視線がくぎ付けとなっていた。
「戸越銀座じゃ、商店街で寿本舗関係者が行う結婚式ではほぼ確実にこれだぜ、たぶん間違いなくな」
「他はどうなのよ」南が疑問を呈する。
「知らね。でも少なくとも、店の従業員が呼ばれた結婚式とかお祝い事なら、お土産に持っていくかもしれないぞ」
「てきとーだなぁ。牡蠣入ってないのに牡蠣バージョンのほうの話するし」 
「わはは。季節商品も入れると結構種類豊富だから、いろいろ言いたいことあんだよ」ガサツに笑う。
 奈緒が二つ目を取ってかじりつくと、はむはむと咀嚼しながら二人のやり取りを見守る。
噛み口から溢れる黄色めいた白茶色のカスタードクリームを見やった南が、思わず赤い舌をちょろりとのぞかせて一瞬唇を潤わせると、唾をごくりと飲み込んだ。
「奈緒ー、お願い、一口ちょうーだい」
 そう言って、差し出されたたい焼きにかぶりつく。
「うーん、美味しい。たっぷり詰まっててやさしい甘さだね」
「うん」と頷き返したこの子は、先ほどから気になってチラチラ見ていた春樹の手元をまた見やる。それが彼の口に運ばれて残った部分がまたみぞおちの高さに戻ってきた頃に、我慢しきれなくなった様子で、気持ちに急かされたように口を開いた。
「それなに? なんか食べてる」
「ん? 浜たま焼き[はまたまやき]。言わずと知れた気仙沼名物」
 幾つかのかじり痕のある手のひらサイズの大判焼き状の食べ物を見せる春樹に、南が曖昧模糊とした表情を向ける。
「言われても分かんないよ」
「マジで⁉ どの口が言うの? こんな美味いB級グルメ捕まえて。ちなみに、浜で卵を焼いたのが起源だって逸話はないらしいぜ」
「訊いてないよ」
「お好み焼き、たこ焼き、もんじゃ焼き、明石焼きと並ぶ五天王だと、俺は確信している」
「一個多いよ、中途半端だなぁ。外しなよ、マイナーやつから一つ外しなよ」
 要求を無視して笑い飛ばす春樹に、奈緒が突っかかってきた。
「買ってきて」
「どうせ、お好み焼きだよ」南が思いとどまるように促す。
「それが違う」春樹は自慢げに続けて「中身はとろとろでもんじゃっぽいたこ焼きふうで、池袋のばくだん焼きみたいなんだ」。



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