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二年生の一学期
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杏奈の声だけが響く室内で、胸に飛び込もうとした眼前の女子の横を素通りした務が、奈緒の傍らに跪いて自分のポロシャツを脱ぐと、ゆでだこのように赤く染めた全身を震わせながら、奈緒の無残なワイシャツの上に被せた。その瞬間、この子の身が激しく強張って、硬い石のように変化した。それに気がついた彼は、むき出しにした歯が砕けるほどに噛みしめる。
信じられない様子で振り返って務の後頭部を見つめる杏奈に、突如として猛進したかおりが掴みかかる。それを追うようにして、暖乃が彼女に詰め寄った。
よろめいた杏奈が、務の背に向かって左手を伸ばす。
「助けて、助けて務君」
暖乃が、指先で何度も突き飛ばしながらまくしたてた。
「なにが助けてなの? 言い出しっぺ杏奈でしょ。止めた止めたってなによ、一緒になって脱がしてたくせに」
「ちょっと嘘言わないでよ、わたしだめよって止めたでしょ、一緒になってやってなんかいない」
「わたしたちは杏奈が、この子に振り回されて気持ちが折れそうになっていたから、ここに呼んで説得しようとしたんじゃない。自分だって納得ずくだったでしょ」
「わたしは、ようやく押さえ込んだ成瀬さんに不利な感情を持つ人たちに鬱積している不満が爆発しそうだってことを教えてあげられたらって相談しただけじゃない」
「よく言う。八月まで不登校にして転校に追い込みたかったくせして。はっきり言わなかったけど、本当はそれが望みだったでしょ。だからわたしたちはここまでしたんだよ、杏奈のために!!」
「のーのがわたしのことを想ってしてくれたことだっていうのは分かる。でもやりすぎだよ。わたしは、成瀬さんに不登校になってほしいだなんて思っていないし、まして転校や退学してほしいだなんてこれっぽっちも考えていない。転校はあくまで選択肢の一つで、成瀬さんを救ってあげられる可能性がある方法だって考えただけで、望んではいなかったわ。のーのだってかおりだって、おんなじでしょう? みんなにはわたしがちゃんと説明するから、今はちゃんと謝って。成瀬さんにも、みんなにも」
作画:緒方宗谷
春樹、務、南、杏奈、奈緒、かおり。
信じられない様子で振り返って務の後頭部を見つめる杏奈に、突如として猛進したかおりが掴みかかる。それを追うようにして、暖乃が彼女に詰め寄った。
よろめいた杏奈が、務の背に向かって左手を伸ばす。
「助けて、助けて務君」
暖乃が、指先で何度も突き飛ばしながらまくしたてた。
「なにが助けてなの? 言い出しっぺ杏奈でしょ。止めた止めたってなによ、一緒になって脱がしてたくせに」
「ちょっと嘘言わないでよ、わたしだめよって止めたでしょ、一緒になってやってなんかいない」
「わたしたちは杏奈が、この子に振り回されて気持ちが折れそうになっていたから、ここに呼んで説得しようとしたんじゃない。自分だって納得ずくだったでしょ」
「わたしは、ようやく押さえ込んだ成瀬さんに不利な感情を持つ人たちに鬱積している不満が爆発しそうだってことを教えてあげられたらって相談しただけじゃない」
「よく言う。八月まで不登校にして転校に追い込みたかったくせして。はっきり言わなかったけど、本当はそれが望みだったでしょ。だからわたしたちはここまでしたんだよ、杏奈のために!!」
「のーのがわたしのことを想ってしてくれたことだっていうのは分かる。でもやりすぎだよ。わたしは、成瀬さんに不登校になってほしいだなんて思っていないし、まして転校や退学してほしいだなんてこれっぽっちも考えていない。転校はあくまで選択肢の一つで、成瀬さんを救ってあげられる可能性がある方法だって考えただけで、望んではいなかったわ。のーのだってかおりだって、おんなじでしょう? みんなにはわたしがちゃんと説明するから、今はちゃんと謝って。成瀬さんにも、みんなにも」
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