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二年生の一学期
🐿️
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杏奈の頬がりんごのごとく真っ赤に染まる。表情の変化を見て取った魚子が鼻で笑う。
「大切な土屋君は、成瀬にご執心みたいだね。それが憎たらしかったんでしょ。こいつさえいなければ、愛する人は自分のものになるのに――なんてこと考えたんじゃないの」
「務君のことは尊敬してる。でもあなたが思っているような不純なことは考えていない。同じ生徒会員として、学校をよりよい環境に変えるために日々切磋琢磨している同志なの。周りに馴染めずに三人で褒め合っているだけの輩では理解できないかもしれないでしょうけど」
心が破れた音を立てたかのようにして、魚子の顔が歪む。
「したいだなんて微塵も思わないね。理解しようものなら成瀬の二の舞になっちゃうからさ。こいつのこと相談するふりして、全クラス……いや、全学年どころか学校中に吹聴しまくってたじゃない。成瀬のこと庇ってるふりして、よくよく聞いてると、成瀬が盗ったかもしれないけど守ってあげたいって話の流れになってた。誰かが署名集めようって言いだした時も思いとどまらせたって聞いた。長期間休ませて、なし崩し的に学校来れない状態に陥れたかったんだ。成瀬の友情心にかこつけて、自ら辞めるように仕向けたんでしょ」
魚子が務に詰め寄って、自らの胸の心臓部を鷲掴みにした。
「聞いて、土屋君。あたしたちべつに本気で脱がそうんだなんて思ってなかったのよ。もともと、ここに成瀬を連れ込んだのだって、杏奈がこいつを監禁して脅してやれば言うこと聞く、なんならひどいことして辞めさせてやればいいなんて言うから、こんなことになったんだよ」
「そうだよ」暖乃が務の左半身にすがるように寄って訴える。
「黒板にあんなこと書いてあったのだって、絶対に杏奈の仕業。この子、普段は誠実な淑女ってツラしてるけど、全然そんなことなくて仮面かぶってるだけなんだから。言うこと聞かないやつや気に入らないやつは徹底的に潰すひどい性格してるんだよ」
二人をかき分けて、杏奈が務の胸に飛び込んだ。
「信じないで。わたしそんなひどいことできない性格だって、務君が一番よく知っているでしょう? この子たちがやろうとしていたことなんてこれっぽっちも知らなかったよ。わたしも戸惑っているの、ウィップスはもう成瀬さんの味方だと思っていたから」
務が杏奈の肩を抱いて、彼女の重心を自分から放す。
「学校で成瀬さんがいないって気がついて手分けして探していた時、なんで途中でいなくなったの? なんで連絡取れなかったの? ここのことを教えてくれてさえいれば、もっと早く助けに来られたかもしれないのに」
「大切な土屋君は、成瀬にご執心みたいだね。それが憎たらしかったんでしょ。こいつさえいなければ、愛する人は自分のものになるのに――なんてこと考えたんじゃないの」
「務君のことは尊敬してる。でもあなたが思っているような不純なことは考えていない。同じ生徒会員として、学校をよりよい環境に変えるために日々切磋琢磨している同志なの。周りに馴染めずに三人で褒め合っているだけの輩では理解できないかもしれないでしょうけど」
心が破れた音を立てたかのようにして、魚子の顔が歪む。
「したいだなんて微塵も思わないね。理解しようものなら成瀬の二の舞になっちゃうからさ。こいつのこと相談するふりして、全クラス……いや、全学年どころか学校中に吹聴しまくってたじゃない。成瀬のこと庇ってるふりして、よくよく聞いてると、成瀬が盗ったかもしれないけど守ってあげたいって話の流れになってた。誰かが署名集めようって言いだした時も思いとどまらせたって聞いた。長期間休ませて、なし崩し的に学校来れない状態に陥れたかったんだ。成瀬の友情心にかこつけて、自ら辞めるように仕向けたんでしょ」
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務が杏奈の肩を抱いて、彼女の重心を自分から放す。
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