FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🐿️

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「やめなさいっ、人のスマホいじるんじゃないわよ。返しなさい、返しなさいよ!」
 杏奈の声がけたたましく木霊する。険しい相貌に豹変した彼女が二人の体を撥ね退けると、押し倒す勢いで魚子目掛けて突っ込んでいく。二人してスマホの奪い合いが始まった。
 パワームーブを主体に1ムーブを構築するほど引き締まった肉体美を誇る魚子に引けを取らない力で奪還を試みる杏奈であったが、後方から駆けつけた暖乃とかおりによって再び両手が押さえられると、もがくばかりとなって魚子から引きはがされる。
「はっ」と暖乃が鼻で笑う。「この期に及んで見苦しいわよ、杏奈。もう許さない。あんたも一緒に破滅させてやるんだから」
 杏奈が絶叫するように悲痛な叫び声をあげる。
「助けて、高木君助けて。この子たちなにか勘違いしてる。わたしカメラなんて知らない。撮影なんてしてない。もし動画が撮られていたなら誤作動だよ、さっきスマホいじった時に間違ってタップしただけっ」
 必死に握っていた魚子の手首から、杏奈の指が引きはがされた。それでもなお暴れる彼女だったが、二人からのしかかられて膝をつく。すると、そのまま体重をかけられて前方に倒され、チキンウィングのように両手を掴み上げられて押し伏せられた。
 興奮した猫のように「ふーふー」鼻息を荒げる杏奈は、観念した様子を見せることなく、なんとか立ち上がろうとしている。
「お願い、高木君、わたしのスマホ取り返して。あなただけが頼りなの、なんでも言うこと聞くから、助けて」
 なりふり構わず懇願する杏奈の後頭部を、茶髪の男子は憐憫が横溢した瞳で見下ろす。一瞬身を強張らせて唇を開きかけたが、思いとどまって口を閉じる。
 春樹の挙動に警戒していた魚子が、彼から視線を逸らしてスマホに落としてから、務を窺うように見やる。
「再生しよう」
 静かに、それでいてこの場の空気を支配しつつある一人の男子が視線を送り返してそう言うと、魚子はファイルを開いて再生を開始した。
 しばらくして春樹が言葉を漏らす。
「なんで杏奈、助けないんだよ、襲われる前からそばにいるじゃんかよ。とめもしないで座って見ているなんて」
 
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