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二年生の一学期
第百七十一話 杏奈の本心
しおりを挟む南は、奈緒を抱き寄せてその肩に添える指に力を込めた。
「不問に帰すっていうの? ありえないそんなの。この四人がやったことは許せないよ。警察に突き出すべきだと思う」
暖乃が怯えた様子で声を震わせて、瀕死の猫のように叫ぶ。
「それだけは勘弁して、償いはなんでもするから。逮捕されたら、部活どころか人生が終わっちゃう」
「奈緒の人生を終わらせようとしたんだよ、それくらいの代償払わないでどうするの。それに逮捕されたからって終わりはしないでしょ。償ってやり直しなさいよ」
「ごめんなさい。許してもらえないのは分かってる。でも本当に反省してるんだ」
魚子が割って入いると、「この通りです。すいませんでした」と暖乃が深々と頭を下げる。かおりもそれに続いて頭を下げた。
そんな三人を、冷淡にも南は突き放す。
「謝るだけなら口でなんとでも言えるんだよ。罪を悔いているわけじゃない。罰を受けるのが嫌だから謝ってるだけ。本当に悪いと思っているなら、それ相応の罰を甘んじて受けなさいよ」
務が南の言葉の続きを遮った。
「犯行の映像を残す必要はないんじゃないかな。今から一筆書かせるとか、犯行を認める動画を撮るとかすれば、事足りると思う。ひどい目に遭った成瀬さんの姿を人目に晒すようなことはしたくない。ビリビリに破かれた服とか、それについている指紋とかでも犯行は立証できるだろうし。せめて成瀬さんの映像部分だけは僕は消去する」
力強い語気に、南は押し黙った。同意も不同意もせず眉だけをしかめる。
沈黙した空間でうなだれる杏奈を見つめていた春樹が、電池を入れ替えた時計の針のように動きだして一呼吸入れ、瞳を動かす。
「変な映像ないかチェックしようぜ。少なくとも暖乃はスマホで写真撮りやがったし」
慌てて駆けだした暖乃が、落ちていた自分のスマホを取り上げて振り向くと、歩み寄りながら右手を伸ばした春樹にそそくさと渡した。魚子とかおりも自分のリュックへと駆けて行って、その中からスマホを取り出して彼のそばに佇み、確認の順番を待つ。
次いで自分の番になった魚子が、まず先に持っていた杏奈のスマホを務に画面を見せながら、いくつかの操作を試みる。
「杏奈のスマホじゃ分割できるアプリがないみたい。土屋君のスマホってたしかペアー[IT企業]のだったよね。なら分割できるから、そっちにデータ送って、成瀬のとこだけ消去しよう」
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