FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🍭

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「うん……」と力なく笑んで頷く奈緒に、「ニシシ」と歯を見せて三日月形の唇で笑った南が、ドアに歩んでいく。
「じゃあ、いいよね、開けて」
 そう軽く問いてドアを開けると、外にいた二人に「お待たせ」と声をかける。立ち上がりざま、春樹がすぐに洗濯ばさみの存在に気がついた。
「それで帰んの?」
「変かな?」南が少し自嘲気味に鼻で笑い、右の人差し指で頬を掻く。
「お父さんの服貸してやるよ」
「いいよ、わるいから。とりあえず家に帰れればそれでいい。こんな姿でもお父さん文句言わないだろうし」
 ボタンをかけ違えたように歪む前身頃を違和感ありげに春樹が見つめる。
「安全ピンあるよたぶん、探してくる」
そう言って奥の部屋に消えて行った彼は、赤い頭の4号安全ピンを三つ持ってきた。
「わりぃ、これしかない」
「いや、助かるよ、ありがとう」
 ケロッと答えてつまみ上げた南が、洗濯ばさみをはずしては安全ピンで前建をとめていく。その度にちらちら見える白いブラに包まれたふくよかな丘陵を見て赤面した二人は、目のやりどころに困りながら、辺りを見渡す。
 南が脱衣室に戻って鏡に映る自分の姿を確認すると、「よしっ」と呟いて、廊下に繋がる開口部に向かって頭を傾けた。
「帰ろう。ほんとは、お茶でも一杯ごちそうになって帰りたいところだけれど、高木のお父さんが帰ってきたら、奈緒のストレスになると思う。面識ないし、大人だし」
「そうだな」春樹が答える。
 彼の返事を聞いたあとに奈緒をおぶろうとした南に、務が歩み寄った。
「僕がおぶるよ。長時間はきついでしょ」
 南が離れようとするが、首にすがりついた奈緒の腕が力む。彼女が務に目配せすると、務は頷いて身を引いた。
「よっこらしょっ」と奈緒を背負った南が、肩にもたれる頭頂部に頬を寄せて、骨伝導も加えた声をかける。
「今日だけは特別だぞ、あまえんぼう」
「むふふ」
 奈緒はようやく気持ちのこもった笑い声を、シャボンのように吹き出した。







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